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危険度増すアフガン 首都でテロが激化

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危険度増すアフガン 首都でテロが激化

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11月27日、首都カブールで自爆テロを受けた英国大使館の車両の残骸。5人が死亡、30人余りが負傷した=2014年、アフガニスタン(ロイター)  【国際情勢分析】

 アフガニスタンの首都カブールで外国人や要人、治安部隊を標的にしたテロが11月以降、相次いでいる。米支援組織の所長家族3人や、英国人の大使館員らがイスラム武装勢力タリバンの襲撃で殺害され、カブールの警察本部長が更迭される事態に発展した。9月に発足したガニ新政権は、国際治安支援部隊(ISAF)撤収を控え、治安対策で、難しいかじ取りを迫られている。

 米支援組織などが標的に

 米カリフォルニア州を拠点とする支援組織「教育開発協力(PAD)」の施設がタリバンのメンバー3人に襲われたのは11月29日のことだった。1人は警官の制服を着ていた。自爆や銃撃で攻撃され、事務所長の南アフリカ人男性(46)のほか事務所長の息子(17)と娘(15)、アフガン人2人が犠牲になった。

 AP通信などによると、親子は医師の母親とともにカブールに居住し、母親は別の職場にいて無事だった。PADは2002年以来、アフガンで活動しており、男性は3年前から事務所長を務めていた。学校へトイレを供給し、英語教育を提供するなどの活動をしてきたが、事件を受け、PADは事務所をいったん閉鎖した。母親は事件後も、医師としての活動を継続しているという。タリバンは、PADがキリスト教の布教の拠点になっていたため、標的にしたと説明している。

 カブールでは11月、タリバンによるテロが続発している。27日には、英大使館車が自動車爆弾を使った自爆テロに遭い、英国人館員1人とアフガン人通訳1人、別のアフガン人3人の計5人が死亡、30人余りが負傷した。大使館の多目的車は爆発で40メートルほど吹き飛ばされ、屋根や扉がなくなるほどの衝撃を受けた。当時、現場付近にいた商店主のハビブラさん(34)は、産経新聞通信員の取材に「爆発はまるで地震のようだった。一帯が衝撃で揺れた」と当時の様子を証言した。

 警察本部長は更迭

 このほか、24、25日には道路脇に仕掛けられた爆弾が爆発し、ISAFを主導する北大西洋条約機構(NATO)の兵士2人が死亡、アフガン兵6人が負傷した。9日と16日には、カブールのザヒル警察本部長や閣僚有力候補の女性人権運動家が自爆テロ犯に襲われた。2人は無事だったが、本部長の部下の首席補佐官が死亡している。

 ザヒル氏は一連のテロの責任を取り、「これ以上は続けられない」(カブール警察報道官)として30日に本部長の辞任を申し出て、その後、更迭された。

 タリバンは一連のテロについて、12月4日のロンドン支援国会合を前にした攻勢だとしている。比較的警備が厳重な首都でテロが可能になっていることについて、アフガンの政治評論家、モハンマド・ユーナス・ファコル氏は産経新聞の取材に、「地方でNATO軍が撤収するなか、タリバンが首都への攻勢を強めている」と分析する。

 ロイター通信によれば、南部ヘルマンド州では最近、ISAFの縮小に伴い英米軍が撤収し、アフガン治安部隊が使用している基地がタリバンに襲撃され、奪われそうになる事件も発生した。

 イラクの二の舞いを警戒

 AP通信によると、アシュラフ・ガニ大統領(65)は治安悪化の事態を重く見て、タリバンの勢力が強い南部ヘルマンド州、東部ガズニ州、ナンガルハル州に加え、北部クンドゥズ州などで文民や軍幹部の更迭に着手した。フランツ=ミカエル・メルビン駐アフガン欧州連合(EU)特使(56)は、「ガニ大統領は、軍内部の改革の必要性を感じている」としている。

 ISAF撤収後の来年以降、米国は9800人に規模を縮小し、NATO全体で外国部隊の駐留規模は約1万2000人程度になる見通しだが、米国はアフガンが部隊撤退後にイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」の増長を許したイラクの二の舞いになることを強く警戒している。

 このため、米メディアによれば、来年以降、当初予定していたアフガン治安部隊の支援中心の任務に加え、空爆などタリバン掃討作戦を継続する方針だ。ロイター通信は、駐留規模が予定されていた9800人よりも数百人増えると報じている。

 バラク・オバマ米大統領(53)は2016年末までの米軍完全撤退を表明しているが、それまでには、紆余(うよ)曲折があるかもしれない。(ニューデリー支局 岩田智雄(いわた・ともお)/SANKEI EXPRESS

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