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【野口裕之の軍事情勢】オロナミンCとボンカレーに学ぶ対中国宣伝戦

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【野口裕之の軍事情勢】オロナミンCとボンカレーに学ぶ対中国宣伝戦

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発売開始(1968年)当時のバージョンの「ボンカレー」。その記憶が今も鮮明なのは、味や手軽さもさることながら、抜群の宣伝効果によるところも大きい=1999年7月12日(産経新聞撮影)  大塚ホールディングスの大塚明彦会長の訃報(11月28日)に接し、ふと思った。大塚氏と氏が率いた大塚グループなら、中国が世界中に凄まじい勢いで広めている反日宣伝が壮大なスケールの虚構であり、逆に日本が大いに信頼に値する国かをいかにPRしたか、と。半世紀近く、世界で累計300億本を販売するオロナミンCと25億個強が消費されたボンカレーというロングセラー人気商品は、味や手軽さもさることながら、効果的宣伝も大きく貢献したためだ。

 市場にウソをつかせる国

 オロナミンCが産声を上げたのは1965年。81年の累計販売50億本を皮切りに100億本(85年)→150億本(90年)→200億本(95年)→250億本(2001年)→300億本(11年)を達成した。当初は5年前後周期で50億本ずつ増やしたが、250~300億本達成には10年近くかかった。パイオニアたる自社製品の市場成熟やライバル出現を受けた販路拡大の難しさを物語る。市場は正直だ。

 ところが市場にウソをつかせる国がある。中国。首相就任前、李克強氏(59)自らが米国の駐中大使に「GDP=国内総生産は人為的だ」と、自信をもって言い切っている。透明性が大前提となる現在の経済市場をも粉飾するのなら、過去の数字改竄はどうということはない。

 大日本帝國陸海軍に因る中国人犠牲者につき、日本敗戦後まだ大陸に在った国民党は320万と言った。579万に260万近く上方修正されたが、驚いてはいけない。国民党を台湾に潰走させ大陸に君臨する共産党は、数字に関し度を超した不感症で、1000万の大台に乗せるや1985年には2168万に。そして戦後50年の95年、戦勝記念式典で世界に向かい何と3500万と公表した。当然、いずれの「変数」も説明はできなかった。

 「従軍慰安婦の強制連行」問題などでも、世界中の新聞を使いウソを垂れ流す。例えばワシントン・ポストなど欧米数紙に毎月折り込む数頁の別刷り。8月は「元慰安婦」を自称する悲しげな表情で立つ女性の大きな写真脇に《残虐行為への謝罪を》、別の記事には●(=鯖の魚が立)國神社遊就館の展示に対し《日本は尚、殺人的な過去の栄光をたたえる》の、各見出しを躍らせた。別刷りは、中国共産党中央宣伝部直轄の英字紙チャイナ・デーリー(中国日報)が執筆する。

 投下資金と品格の差

 沖縄県石垣市の尖閣諸島「領有」攻勢は、2012年が特に常軌を逸していた。9月には、ワシントン・ポストとニューヨーク・タイムズ(NYT)の米2紙が、中国日報製作の2頁見開き意見広告《釣魚島(尖閣の中国名)は中国のものだ》を載せた。加えて10~11月だけで、12カ国とEU(欧州連合)2回の延べ17紙に、中国大使らが《中国は日本の挑発的行動に対応する》などと寄稿した。

 日本政府も反撃はしているが、投下資金と品格の差がそのまま露出度の差となり、格段に見劣りする。放っておいてよいはずがない。大塚氏の訃報が中国の反日宣伝工作と唐突に結び付いたのは、訃報でオロナミンCやボンカレーのキャッチコピー/新聞広告/CM/ホーロー看板、それも40~50年近く前のバージョンが鮮明によみがえった驚きが原因だった。

 オロナミンCでは、子供の頃マネした俳優・大村崑(こん)さん(83)発信の「元気ハツラツ!」「うれしいとメガネが落ちるんです」。「オロナミンCは小さな巨人です」のうたい文句は、起用した野球選手より先に浮かんだ。ボンカレーも然り。落語家・笑福亭仁鶴さん(77)の、流行時代劇《子連れ狼》をパロディー化したセリフ「3分間待つのだぞ」と、続くナレーション「じっと我慢の子であった」には、思い出すや吹き出してしまった。

 一般外国人が「大使閣下」の実名で権威付けされた寄稿の刺激的作文を鵜呑みにし、「悪逆非道」といった対日固定観念を強く脳裏に刻めば、払拭するのは容易ではない。いや一般人だけではない。真贋を見極めるウラ取り取材をしなければいけないメディアの目が、中国の反日宣伝に曇らされている。

 だまされた?米紙NYT

 NYTは12月4日付社説《日本における歴史のごまかし》で、日本の右派が慰安婦問題否定に向け《脅迫キャンペーン》を展開中だと批難した。アジアの戦地での女性虐待制度は《歴史的事実として日本人学者が確立している》のに、日本では《戦時中の敵がでっち上げた》とみなす政治的動きが力を持ちつつあり、1993年の《河野談話》を見直す兆候があると指摘。安倍晋三政権が国粋主義的熱情をあおり立て、戦中史修正要求勢力に迎合する《火遊び》をしているとさえ書いた。12月2日の電子版でも《民族主義的政治家が歴史の修正・否定に脅しを使っている》との主旨を述べる、慰安婦問題を誤報した朝日新聞元記者の弁解を紹介。法政大学教授の談話《安倍氏は朝日問題を他メディアに自己検閲させる威嚇に利用している。新しい形のマッカーシズムだ》も添えた。

 しかしマッカーシズム=反共産主義運動の批判まで盛り込む、日本社会の現実とかけ離れた記事だからといって、共産党より賜る莫大な広告収入への「ちょうちん記事」と疑ってはいけない。NYTは2012年、温家宝首相(当時)の《不正蓄財疑惑》を報道。記者のビザ申請棚上げや更新拒否に直面している。中国の「腐敗」「検閲」ぶりをイヤというほど味わっており、自ら腐り、検閲に応じる道理がない。だまされたに違いない。今後は、わが国に浴びせた「腐敗」「検閲」報道を検証し、日中両国の現状を認識した上で《民族主義的政治家が歴史の修正・否定に脅しを使っている》中国の正体を、もっとお勉強なさるよう忠告しておく。

 この際、人民が餃子に毒を盛り、日々二酸化炭素を吸って暮らす中国にも助言を。王冠式→スクリュー式と進化したオロナミンCのキャップは異物混入事件を受け、一度開けると閉め直せないマキシ式を採用した。一部ビン生産工場では使用燃料の重油が、二酸化炭素発生量の少ない都市ガスへと変わった。

 ボンカレーのレトルト(加圧加熱殺菌釜)は世界最大規模。汚職まみれの政治家・役人を「殺菌」してはいかが?と思量したが撤回する。レトルト技術は軍事転用でき、凶暴な国においそれとは出せないのである。(政治部専門委員 野口裕之/SANKEI EXPRESS

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