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長野震度6弱 1カ月 避難なお110人、倒潰住宅は雪の中

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長野震度6弱 1カ月 避難なお110人、倒潰住宅は雪の中

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降雪の中、仮設住宅の工事現場では作業員が黙々と作業にあたっていた=2014年12月21日、長野県北安曇郡白馬村(三宅真太郎撮影)  最大震度6弱を観測した長野県北部の地震は22日で発生から1カ月。被災地は本格的な冬を迎えたが、現在も白馬村、小谷(おたり)村、小川村の計約110人が宿泊施設などで避難生活を続けている。年内の入居を目標に仮設住宅の建設も進んでいるが、地震で倒壊した住宅は雪に埋もれたままで、片付け作業は来春まで中断せざるを得ない。被災者がゆったりした気持ちで新年を迎えられる状況にはない。

 「これで4カ所目」

 最も大きな被害が出た白馬村では現在、25世帯53人が村内4カ所のホテルやペンションで避難生活を送っている。村は発生翌日の11月23日、村の「保健福祉ふれあいセンター」を1次避難所として開設。その後、避難住民は11月30日から、村が借り上げた村内のホテルなど2次避難所に移転。ただ、それらのホテルなども繁忙期を迎えたことから、避難住民は今月19日から村が確保した4カ所の宿泊施設に移った。

 このうち、希望者は県が村内に建設中の仮設住宅に移る。仮設住宅は雪の落ちやすい急勾配の屋根や二重の断熱材を用いるなど豪雪地帯の気候に合わせた仕様で、計35戸の建設が急ピッチで進んでいる。年内に完成し、入居できる見込みで、村は入居希望者の聞き取りを行っている。

 一方、25世帯54人が村内外の宿泊施設などで避難生活を送る小谷村は、仮設住宅の建設は行わず、来春に向けて公営住宅などを確保し、被災者に今後の住居希望などを調査していく。

 白馬村峰方地区の横沢哲朗さん(61)は自宅が全壊し、村内のペンションで避難生活を送っている。妻と娘は飼い犬を連れて親類の家に身を寄せている。仮設住宅ができれば入居する予定だ。「避難所はこれで4カ所目。それぞれの宿泊施設には感謝しているが、やはり落ち着かない。仮設住宅では犬も含めて家族が一緒に暮らせるので楽しみ」と語った。

 一方、地震で白馬村神城の自宅が全壊し、現在も避難生活を送っている津滝君和さん(73)は、仮設住宅には入らず、知人を頼る予定だ。

 現在はホテルに避難中だが、「従業員は『お帰りなさい』といつも笑顔で迎えてくれて、私たちの落ち込んだ気持ちを晴らしてくれた。私たちも早く立ち直って元の暮らしを取り戻し、支えてくれた人たちに恩返しをしたい」と話し、前向きに生きている。

 奇跡と呼ばれる絆

 今回の地震では、住民らによる迅速な安全確認や救出活動が行われ、死者をゼロに抑えたことから「白馬の奇跡」と呼ばれ、地域の絆の重要性が再認識された。避難住民の受け入れも、被災地の宿泊施設が進んで引き受けたものだ。

 83歳の兄と2人で白馬村内のペンションに避難、仮設住宅に入居予定の白馬村堀之内の勝野良子さん(78)は「夢でうなされて夜中に起きたり、今後の生活を考えて不安になったりするが、避難所で近所の人と話すと安心する。こういう地域の団結力はこれからも大切にしていきたい」と話した。

 ≪風評被害克服へ 被災地のスキー場応援イベント≫

 スキーシーズンが本格的に到来し、地震による風評被害を克服して地元の観光産業を支えようと、長野県は21日、東京・銀座の県総合活動拠点「銀座NAGANO」で、被災地の白馬村、小谷村、大町市で構成する「HAKUBA VALLEY」のスキー場応援イベントを開催した。

 長野県旅館ホテル組合会によると、地震発生直後、宿泊施設のキャンセルは白馬、小谷、大町の3市村で254件、県内全体では916件に及んだ。スキー修学旅行でも、京都市の中学校が来年1月5日から予定していた白馬村のスキー場での修学旅行を保護者の懸念で中止したのをはじめ、3校が県内でのスキー修学旅行を中止した。

 白馬村周辺のスキー場では被害はなかったが、スキーシーズンに入って首都圏などからのスキー客が遠のけば、地元の観光産業に大きな打撃になる。長野県ではスキー修学旅行の予定通りの実施と誘致を働きかけているというが、被災者の生活再建とともに、観光業の風評被害克服も喫緊の課題だ。

 この日のイベントには長野県や3市村の関係者が出席。パンフレットの配布や3市村の物産販売のほか、スキー場のリフト1日無料券などが当たる抽選会が行われた。

 長野県の野池明登観光部長は「もう余震も収まっていて安全。多くの方がおいでいただくことが何よりも震災復興になります」とPRしていた。

 長野県は今年、御嶽山(おんたけさん)噴火と震度6弱の地震という大きな自然災害に見舞われた。県では外国人観光客誘致強化などを柱にした「冬の信州観光 新戦略」を決定。風評被害の克服とさらなる誘客を目指す。 (SANKEI EXPRESS

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