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【御嶽山噴火】47人死亡 戦後最悪 噴石の雨 時速300キロで直撃

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【御嶽山噴火】47人死亡 戦後最悪 噴石の雨 時速300キロで直撃

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御嶽山(おんたけさん、3067メートル)山頂付近に取り残された登山者をヘリコプターに運び込む自衛隊員ら=2014年10月1日午前10時47分(共同通信社ヘリから撮影)  雲仙普賢岳被害上回る

 直径10センチを超える噴石が時速300キロ近い猛烈な勢いで降り注いだ-。長野、岐阜両県にまたがる御嶽山(おんたけさん)の噴火で、長野県警が9月30日までに死亡が確認された12人を検視した結果、いずれも損傷死と判明した。多くは噴石が頭や首、体を直撃したことによる外傷性ショックなどが原因とみられる。長野県警は1日、新たに35人の死亡が確認されたと発表、これまでの判明分と合わせて死者は計47人となった。重軽傷は69人。国内の火山災害としては、1991年に行方不明者を含め43人が犠牲となった長崎県の雲仙普賢岳を上回り、戦後最悪の被害となった。

 東京大地震研究所の分析結果によると、今回の噴火で飛散した噴石は火口から少なくとも1キロ離れた地点まで飛んだ。頂上の御嶽神社周辺では、直径10センチ以上の噴石が時速300キロ弱で降り注いだとみられる。分析を行った東京大地震研究所の金子隆之助教(火山地質学)は「直撃すれば相当の衝撃だっただろう」と話している。

 救助、灰で足元見えず

 隊員が足を踏み出す度に足元の石が崩れ、灰が舞った。「大きな石でも噴石かもしれず、足場になるか分からない。灰で自分の足元も全く見えない状態で、ストック(つえ)で地面をつつき、足場を確認しながら進んだ」

 噴火翌日の9月28日から現地で捜索活動を行った東京消防庁ハイパーレスキュー隊の柳岡正隊長は1日、報道陣に救助活動の様子を明らかにした。

 柳岡隊長ら救助隊31人は9月28日正午ごろ、王滝頂上山荘に到着し、心肺停止の男性1人と重傷の男女6人を発見。重傷者は布団で横になっていたが衰弱しており、柳岡隊長が「よく頑張ってくれました」と声をかけても、ぐったりとした様子だったという。

 また、山荘近くの尾根道や崖の中腹などで、別の重傷の女性1人と心肺停止の状態の男女約10人を発見。全員は搬送できないため、灰が積もっても場所が分かるようにストックを地面に立てるなどし、重傷者ら計7人の搬送を始めた。

 再噴火の危険の中

 山岳救助では、急勾配の場合、樹木などにロープの両端を固定して担架をつるして、滑らせるように搬送するが、山荘付近に樹木はない。そのため、隊員が数人がかりでロープを持って固定し、「ゆっくりゆっくり」などと声をかけ合いながら、担架を落とさないよう細心の注意を払っていたという。

 中腹付近まで担架を下ろし、重傷者7人全員をヘリで麓まで運んで救急車で搬送。救助活動中も背後の火山口からは真っ白い噴煙が立ちのぼり、灰と小石が絶えずヘルメットに落ちてバラバラという音を立てていたという。

 柳岡隊長は、「いつまた噴火するか分からない状況だったが、とにかく要救助者を助けたいという思いだった。重傷者を救助できたことは良かったと思う」と話していた。(SANKEI EXPRESS

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