SankeiBiz for mobile

つながりが関係改善の原動力 クイズで日中交流

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの社会

つながりが関係改善の原動力 クイズで日中交流

更新

「笹川杯全国大学日本知識大会2014」で、3人1組の団体戦に参加した中国の大学生=2014年11月23日、中国・首都北京市の北京大学(日本財団撮影)  【ソーシャル・イノベーションの現場から】

 賞品は日本への研修旅行

 「友好」とは駆け引きではなく、理屈抜きに相手をよく知り、思いやることだ、との思いを強く実感した。日本科学協会が11月22、23日に中国の北京大学で開催した「笹川杯全国大学日本知識大会2014」でのことだ。

 この大会は、日本科学協会が、中国で日本語を学ぶ大学生らに日本への関心をもっと強め、日本のことをもっと深く理解してもらい、日中交流の人材を育てようと始めた。

 10回目の今大会には、中国全土から選抜された、日本語学科のある90大学の約400人(出場者は270人)が参加。パネルに写し出される設問を早押しで答えるクイズ形式の3人1組の団体戦と、筆記試験の個人戦に挑んだ。

 問題はあらゆるジャンルから出題され、日本人でも思わずつまる難問も。例えば、こんな問題だ。

 ▽日本国家「君が代」の歌詞が現れているのは。

A伊曽保物語 B和漢朗詠集 C古今和歌集 D万葉集

 ▽この字は何と読む。「鱈」

 Aさば Bたら Cたい Dぶり

 ▽東京ではエスカレーターのどこを空けて立つか

 ▽皇室の皇族も投票権を持っているか

 ▽永井荷風はどんな遊び人か

 結果は団体戦の1位が洛陽外国語学院、2位は北京大学、3位は南京工業大学。個人戦は、東華大学の馬羽潔さんら6人が1位に輝き、計15人が賞品である日本滞在8日間の研修旅行を手にした。

 「政治は政治、生活は生活」

 個人戦2位の徐●(=りっしんべんに山その下に豆)さんは「備えあれば憂いなしだと思っていたが、備えがあっても憂うという経験をした。すごく緊張したが、面白いという気持ちの方が強かった」と感想を語った。高校生の時に京極夏彦さんの小説を読んだことがきっかけで日本に興味を持ち、大学に入り日本語学科を専攻したという。日中関係について聞くと「政治は遠い。でも、民間の活動は影響を受けてはいないと思う。政治は政治、生活は生活」と話した。

 今年の夏、日本へ行き、東京や九州、四国などを巡った。「賞品の日本旅行では、昨年まで日本語を教えてくれていた先生が名古屋にいるので会いに行きたい」。普段から日本のテレビニュースを見ていて、日本の現状や歴史に詳しく、将来は歴史か哲学の先生になるのが夢だという。

 出場者の多くは小さいころから日本のアニメを見ており、それがきっかけで日本好きになったと口にする。

 アニメ好きというある大学院生は、東京や東日本大震災の被災地を訪れた経験をもとにこう語る。

 「地震から復興しようとする日本人のまじめな姿や笑顔が印象的だった。日本人は礼儀正しく、ルールを守る。町がかわいそうだと、きれいにすることを心がけていたし、迷惑をかけないように生きているのが印象的だった。日本の良い所を知ってもらおうと、赤ちゃんを産んだばかりの女性が一生懸命案内してくれ、優しさに感激した。日本を知ろうと学ぶ自分の交友関係からも、両国の関係が悪いとは思っていない」

 北京林業大学の学生は「日本を知れば知るほど好きになる。お互いに知り合うことが誤解をなくす秘訣だ」と話す。このほか、「日本の歴史を学ぶと中国が出てくるので、つながりの深さを感じる」と語る学生もいた。話しかけると、みんなが日本の良いところや好きな日本のアイドルについてわれ先にと答えてくれることが印象的だった。

 感動の共有は一生の宝

 大会の挨拶で、日本財団の尾形武寿理事長は「面会のないところには何も生まれない。会って初めて理解が生まれる。たくさんの人と会ってほしい」と述べた。木寺昌人・在中国日本大使は「日中友好のキーワードは『感動の共有』。若いころの共有は一生の宝」と話した。

 大勢の中国の若者と教育関係者、そして日本の関係者が交流し、胸襟を開いたこの大会は、硬直した日中関係に、民間の力で小さいけれど明るい窓をあけた“ソーシャルイノベーション(社会変革)の現場”だった。日本が好きで勉強をしている若者がたくさんいる。人と人のつながりこそが変革の原動力となる。大会で芽生えたつながりが、大きな輪に育つことを期待している。(日本財団 コミュニケーション部 宗近江里子/SANKEI EXPRESS

ランキング