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政治
【第3次安倍内閣発足】「アベノミクス進化させる」
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第3次安倍内閣の発足を受け、記者会見する安倍晋三(しんぞう)首相=2014年12月24日午後、首相官邸(酒巻俊介撮影) 安倍晋三首相(自民党総裁)は24日、衆参両院本会議での首相指名選挙で第97代首相に選出された。皇居での首相親任式と閣僚認証式を経て、公明党との連立による第3次安倍内閣が発足した。政治資金問題を理由に続投を固辞した江渡聡徳(えと・あきのり)防衛相兼安全保障法制担当相の後任に中谷元(なかたに・げん)・元防衛庁長官を起用し、残る閣僚は全員再任した。新政権は与党で3分の2超の議席を維持した先の衆院選で争点に据えた、政権の経済政策「アベノミクス」を推し進め、デフレ脱却による経済再生に最優先で取り組む。長期政権を実現する上でも、景気浮揚の成否が鍵となる。
「デフレ脱却を確実なものとする。アベノミクスの成功が最大の課題で、さらに進化させていく」
安倍首相は、政権発足後の記者会見で、経済再生に最優先で取り組む考えを強調した。
首相はこの日夕、官邸で公明党の山口那津男(なつお)代表と党首会談を行い、自公連立政権の継続を確認。その後、官邸に組閣本部を設置し、菅義偉(すが・よいひで)官房長官が閣僚名簿を発表した。3人の官房副長官、5人の首相補佐官も全員再任された。閣僚担務では、有村治子女性活躍担当相が兼務していた消費者・食品安全の担当を、山口俊一(しゅんいち)沖縄北方担当相に移した。
防衛相に起用された中谷氏は防衛庁長官を務めた経験があり、集団的自衛権の行使容認を議論した与党協議会のメンバー。来年の通常国会後半の焦点となる安保法制の国会審議にあたるには適任と判断した。首相は中谷氏に対し、「日本を取り巻く環境が非常に変化してきている。切れ目のない対応ができる安保法制を整備してほしい」と指示した。
一方、首相が防衛相以外の閣僚を再任させたのは、年内に決定する地方での消費喚起などを柱とした総額3.5兆円規模の経済対策や2015年度予算案の編成を円滑に進める狙いがある。
アベノミクスは、異例の大規模金融緩和による円安・株高で一定の効果を上げたが、デフレ脱却に不可欠な「賃上げ」は十分とはいえず、家計は4月の消費税率引き上げと値上げラッシュに圧迫されている。中小企業や地方にも恩恵は及んでおらず、女性の活躍などの成長戦略も道半ばだ。
自民党の谷垣禎一(さだかず)幹事長は首相指名後、「もう少しアベノミクスを見ようというのが衆院選での国民の判断だ」と語り、全面的な支持を受けたわけではないとの考えを示した。
首相は会見で「景気回復の実感を全国津々浦々に届ける」と強調。その実現のため、地方や中小企業への支援を手厚くするほか、女性の活躍や子育て支援、規制改革などをうたった成長戦略の実施を急ぐ。
その第1弾として、政府は27日に経済対策と地方創生の総合戦略を閣議決定し、今後のアベノミクスの青写真を示す考えだ。
安倍首相は先送りした消費税率の10%への再引き上げを2017年4月に必ず実施すると明言している。それまでにデフレ脱却を確実に実現する必要があり、残された時間は多くはない。経済再生への期待感が、高い支持率の大きな要因となっているだけに、失敗は許されない。(SANKEI EXPRESS)