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「大阪都」専念 橋下氏が代表辞任 維新 江田氏が党運営、幹事長に松野氏

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「大阪都」専念 橋下氏が代表辞任 維新 江田氏が党運営、幹事長に松野氏

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維新の党が執行役員会開く。執行役員会を退席する橋下(はしもと)徹・共同代表。共同代表辞任を了承された=2014年12月23日午後、東京都千代田区(小野淳一撮影)  維新の党の橋下(はしもと)徹共同代表(45)=大阪市長=は23日、都内で開いた執行役員会で辞任を申し入れ、了承された。「大阪都構想」実現の鍵を握る来年春の統一地方選で行われる大阪府議選や大阪市議選の対応に専念するため。松井一郎幹事長(50)=大阪府知事=も辞任し、江田憲司共同代表(58)が代表として党運営を行う。

 橋下氏は執行役員会で「大阪都構想の実現に専心したい。いったん職を引きたい」と申し出た。橋下氏は最高顧問、松井氏は顧問に就任。両氏は統一選後に元の役職に戻ることも検討する。松井氏の後任の幹事長は、松野頼久国会議員団会長(54)が務める。

 橋下氏は、安倍晋三政権の経済政策「アベノミクス」などの取り組みを高く評価し、政権に「是々非々」で対応してきた。一方、労働組合との関係が深い民主党を厳しく批判してきた。これに対し、江田氏は野党再編に前向きで、橋下氏の辞任は野党再編の動きにも影響を与えそうだ。

 橋下氏は2008年に大阪府知事に就任し、11年に大阪市長に転身した後の12年に日本(にっぽん)維新の会を結成した。日本維新は12年の衆院選で54議席を獲得し、第三党に躍り出た。分党して「維新の党」として臨んだ先の衆院選は41議席だった。

 ≪「足元」立て直し急務 政治生命懸けた戦い≫

 維新の党を牽引(けんいん)してきた橋下(はしもと)徹共同代表(大阪市長)がいったん、党務から引くのは、足元の大阪の立て直しが急務となったためだ。政界進出の原点である「大阪都構想」の実現には、来春の大阪府議選や大阪市議選の勝利が不可欠であり、2つの選挙は橋下氏の政治生命を懸けた戦いにもなる。しかし、維新の創業者であり、強い発信力を持つ橋下氏の国政関与が低くなることで、維新の党運営は大きく変化し、党内が混乱していく出発点となる可能性がある。

 橋下氏は都内で開かれた執行役員会の冒頭、「当面職を離れたい」と自ら共同代表の辞任を申し入れた。慰留の声も出たが、最終的に了承されると橋下氏は途中で退席。報道陣の質疑に応じることもなく無言で会場を去った。

 辞任の伏線はあった。橋下氏は先の衆院選で一時検討した自身の出馬の断念を「ベストの判断」と強調。選挙戦は大阪を中心に遊説し、大阪都構想の実現を掲げ「どんなに踏みつぶされようと、はい上がる」と訴えた。

 維新は大阪府の比例代表で各党最多の114万票を獲得した。しかし、獲得した大阪の選挙区は12から5へ大きく減らした。

 記者団の取材に応じた松井一郎大阪府知事は「統一選はどうしても乗り越えないといけない選挙だ」と力説。「わがままかもしれないが、大阪に専念して大阪都構想を実現したい」と橋下氏の心境を代弁した。

 橋下氏は市長でありながら国政にも深く関与してきた。安倍晋三政権には「是々非々」を掲げて、安倍首相らとの親密ぶりを見せることもあった。最近では9月に公開義務がない国会議員の文書通信交通滞在費の公開を訴え、渋る国会議員団を押しきって法案を提出させた。

 維新は、江田憲司代表が党の指揮を執る。また、先の衆院選では松木謙公、牧義夫両氏ら元民主党議員が当選し、相対的に大阪維新系の勢力は後退した。江田氏は記者団に「自民党に代わりうる選択肢を示す」と述べ、野党再編に改めて意欲をみせた。

 ただ、橋下氏らが熱心だった憲法改正の動きは鈍り、江田氏は安倍政権との対決姿勢を強めそうだ。

 松井氏は記者団に「第2幕をスタートさせる」と決意を語ったが、府市議選後の橋下、松井両氏の復帰が確約されたわけではない。(内藤慎二/SANKEI EXPRESS

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