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NY死亡警官葬儀 遠い融和浮き彫り 「同僚」2万5000人参列 市民擁護の市長に背
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葬儀後に教会から運び出される警官、ラファエル・ラモス氏のひつぎ。全米各地から集結した警官約2万5000人が敬礼で見送った=2014年12月27日、米ニューヨーク・クイーンズ地区(AP) ニューヨーク市で今月20日、黒人の男に射殺された警官、ラファエル・ラモス氏(40)の葬儀が27日、市内の教会で行われた。事件は、黒人住民の間でくすぶる“人種差別”への不満が凶行へと走らせた象徴的な事例といえ、参列したジョー・バイデン副大統領(72)は米国民に“人種の垣根”を乗り越えて団結するよう訴えた。
葬儀は数百台の白バイがひつぎを先導し、ヘリコプター約10機が上空で旋回するなど、物々しい雰囲気のなか行われた。バイデン副大統領は全米各地から集結した警官約2万5000人を前に「この街は善人を失って深い悲しみに包まれている」と述べるとともに、「この信じ難いほど多様な街はどんな溝にも橋をかけると信じている」と述べ、市民と警察との和解を促した。
だが、警察に対する市民の抗議活動を支持したニューヨーク市のビル・デブラシオ市長(53)が弔意を表明すると、多くの警官が背を向けて無言の抗議を表明。問題の複雑さをみせつけることにもなった。
黒人の男は20日、ニューヨークのブルックリン地区で、パトカーに助手席側から近づき、警告もなく拳銃を発砲。乗っていたラモス氏とウェンジアン・リウ氏(32)の警官2人が死亡した。男は犯行前、中西部ミズーリ州ファーガソンやニューヨークで今年夏、武器を持たない18歳と43歳の黒人住民を白人警官が相次ぎ死亡させたことをネット上で批判していた。
反警察一色の風向きは徐々に変わりつつあるとはいえ、黒人住民の間では、警官らの行為に対する不満もくすぶる。米国では中西部クリーブランドでも11月下旬、エアガンを持っていた12歳の黒人少年が警官に射殺されたほか、南西部フェニックスでも12月上旬、麻薬を販売していたとされる34歳の黒人男性が、ポケットの中に手を入れた行為を「拳銃を取り出す動き」と警官が誤解して射殺される事件も発生。小規模ながら抗議デモが続いている。
米紙ニューヨーク・タイムズは各地の警察の対応を「野蛮」と批判。米紙ワシントン・ポストも「米国人の多くは(警察)制度が壊れていると信じている。市民からの信頼は刑事制度の前提だ」と訴えている。(SANKEI EXPRESS)