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メジャーデビュー 意識変わらず、人間変わった チャラン・ポ・ランタン
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夜中の公園で撮影に応じる小春(右)ともも(左)。外気の冷え込みが厳しい中、2人は自分たちで構図を提案するなど楽しい雰囲気で撮影が進んだ=2014年12月12日、東京港区北青山(岡崎健志さん撮影) 今年の正月。「もっとも2014年に活躍を期待するアーティスト」として、本紙に登場してもらったのが、姉妹ユニットのチャラン・ポ・ランタンだった。昭和のデカダンス? あるいはヨーロッパのジプシー? アンニュイな雰囲気を漂わせているふたり。平成も26年が過ぎようとしている時代だからこそ、彼女たちのようなユニットが生まれたのかもしれない。ちなみに、姉の小春さんは1988(昭和63)年、妹のももさんが1993(平成5)年生まれだ。昭和をリアルタイムに体験していたわけではない。
夏に新潟県苗場で開催されている「フジロック」、台湾最大級のフェスと言われる「ROCK IN TACHUN」、そしてアメリカ・テキサス州オースティンで開催される世界規模の「サウスバイサウスウェスト」。内外の数多くのフェスに出演し、アメリカ人もアジア人も日本人も、多くの人をその独特な世界観で魅了してきた。そんなチャラン・ポ・ランタンが、今年ついにメジャーデビューを果たした。
「メジャーからデビューしたと言っても、自分たちの意識は変わっていませんよ。確かに環境は変わりましたけど」と小春さん。
7月にシングル「忘れかけていた物語」を発表。12月にアルバム『テアトル・テアトル』をリリースした。
そもそも小春さんは東京都が認定するヘブンアーティストとして17歳から路上や公園などいたるところで演奏してきた。ヘブンアーティストとは大道芸人のことだ。ももさんは、小春さんが大道芸をする時には、道行く人にフライヤー(チラシ)を配っていたという。
「『お前がフライヤーを配ったほうが、人が集まるし、捨てずに持って帰ってくれるから』と小春さんに言われて」とももさん。
そして「なりゆき」でふたりの実家においてチャラン・ポ・ランタンが結成された。2009年のことだ。以降、都内のライブハウスを中心に活動を続け、人気を獲得している。
メジャーデビュー後の8月、テレビ番組『ポンキッキーズ』のレギュラーに抜擢(ばってき)された。
「ここで新しく私たちのことを知ってもらったというよりも、私たち自身にとって大きなことでした。だって、小さな頃に見ていた番組に私たちが出ているんですよ。『ポンキッキーズ』を見ている子供たちが、大きくなったら、チャラン・ポ・ランタンとかいうふたり組がいたなぁ、って思い返してくれるかもしれない。思い出話に私たちが残れるかもしれない。それがうれしかったですね」と小春さん。
『ポンキッキーズ』でのレギュラー出演を含め、今年はふたりにとって、どんな変化があったのだろうか。
「たぶん、メジャーデビューっていうことが大きいと思うんですけど…」と小春さん。
「チャラン・ポ・ランタンとして活動する前からそばにいる身としては、小春さんがすごく変わったと思います。もちろん私も変わっているし、変わることが当たり前だと思うんだけど、今年の小春さんほど、人間の変化を感じたのはちょっとないですね」とももさん。
ももさんの言葉を受けて、小春さんが自分のことを話し始めた。
「何が変わったかって、やっぱり自分かなぁ。自分で言うのはおこがましいですけど、ずいぶん温和になったと思います」と小春さん。
「人の話を受け入れるというか、聞くスタンスになっているというか、アドバイスされている言葉が頭に入っていくようになったというか。『そんなの人間として当たり前じゃん』と思われるかもしれませんが、それが本当にすごいことで、音楽に影響を与えているっていうことも歌っていてわかりますし、チャラン・ポ・ランタンとしての音楽の広がりにもなっていると思います」とももさん。
メジャーレーベルから音源をリリースし、テレビ番組のレギュラーになる。それは自分たちの手の届くところにあった輪が徐々に大きくなっているということに他ならない。
「かつては毎日を過ごしていくのがいっぱいいっぱいで、曲に対してもライブに対しても、作り込んでいくことってあまりしていなかったんですね。言ってしまえば『芸が荒れる』だけ。いまは、ひとつの作品に対して、仕上げる時間が増えた。もう一度、振り返る時間が増えています」と小春さん。
これまでは、無我夢中で走っていたのだろう。もちろん、それは経験として悪いことではない。けれども、その先もある。曲であれライブであれ、自分が作り出すひとつひとつにしっかりと向き合うこと。それはチャラン・ポ・ランタンの未来を考えれば、より大切なことだ。
最後に来年の目標を聞いた。
「武道館でライブを、みたいな具体的なものがあったらいいんですけど…」とももさん。
「夢みたいな漠然としたものばかりなんですよね。例えば、サーカステントのようなものを持ってツアーをしてみたいとか、遊園地が欲しいとか。具体的な目標を持つのが2015年の目標ですね」と小春さん。
チャラン・ポ・ランタンは、今後も自分たちの輝きを失わないまま、いろんなシーンで活躍するだろう。2015年も彼女たちから目が離せない。(文:フリーペーパーLj編集長 菊地崇(たかし)/撮影:フォトグラファー 岡崎健志/SANKEI EXPRESS)