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がん死ゼロ「2050年実現可能」 英大学報告書 80歳未満で予防・治療技術向上

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がん死ゼロ「2050年実現可能」 英大学報告書 80歳未満で予防・治療技術向上

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 予防医療などにより2050年までに80歳未満のがん死亡者はゼロになる-。英国の大学が今月、こんな報告書を発表し、欧米で話題となっている。がんの予防や治療の技術が進歩し、英国ではがんによる死亡者がこの25年間に2割減少した上、死亡者の約半数が75歳以上だったことが判明。さらに、長年の研究で、中高年になってから少量のアスピリン(鎮痛剤)を長期間、飲み続けることで、がんの発症率が低下することが証明されたという。一方で、がん発症の主原因は、単なる「不運」という衝撃的な研究結果も今月に入って明らかにされており、論争が活発化している。

 1990年から20%減少

 「ライフスタイルの変化に加え、がんの予防技術やより優れた医薬品、その他の治療法によって、80歳未満の小児および成人に対するほぼ全てのがん関連死は2050年までに予防が可能である」

 英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)は最新の研究報告書でこう断言し、人類は約35年後、がんの恐怖から解放されるとの見通しを明らかにした。

 研究報告書の著者で、UCLで薬学や公衆衛生学を研究するデービッド・テイラー名誉教授は、14日付英紙デーリー・テレグラフや米ニュースサイト、インターナショナル・ビジネス・タイムズなどに「20世紀前半には感染症が激減し、後半には血管に関する疾患の死亡率が低下した」と前置きした上で「これからの大きな動きは、がん関連死の削減になる」と明言した。

 その理由として「(英国での)全年齢のがん死亡者は1990年から現在までで20%減った。この数字は、がんに関し、過去、何が起こったかを指し示している」と述べ、既にがんの予防や治療技術は飛躍的な進歩を遂げているとの認識を示した。

 少量アスピリンに効果

 さらに、今回の研究を主導したUCLのジャック・キュジック教授は、新たながん発症の予防策として、少量のアスピリンを毎日飲み続ければ、15年以内にがんのほか、心筋梗塞や脳卒中の発症確率が7~9%低下し、20年以内に死亡率が4%減るという研究結果を明らかにした。キュジック教授は、禁煙や減量よりもむしろ、50~65歳の人々は10年間、毎日「75ミリグラムのアスピリンを飲み続けることが、がん発症のリスクを抑える最初の第一歩となる」と訴えている。

 アスピリンの長期服用に関しては、胃の内部出血や潰瘍の発症リスクを高めるとの専門家の指摘があるが、キュジック教授は最近の研究で、長期服用によりがんの重篤患者17人の命が救われたとして、効果の高さを強調している。

 対極主張の論文も

 今回の研究報告書の内容を見ると、がんの脅威は弱まりそうだが、がんについてはまだまだ分からないことが多い。

 今年1月1日付のインターナショナル・ビジネス・タイムズなどによると、米名門ジョンズ・ホプキンス大学の研究チームは、がん発症の大半の原因は遺伝子や生活習慣ではなく、生物学的な「不運」による公算が大きいとする論文をまとめ、米科学誌サイエンスに掲載された。

 この研究によると、がん細胞は、細胞分裂時に起きる偶発的な「不運」によって生まれるのであり、生活習慣の改善や遺伝子検査でがんは予防できないと結論付けている。がん予防は可能とするUCLの研究者たちと、その主張は対極をなしている。(SANKEI EXPRESS

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