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中国、7.4%成長に減速 目標届かず

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中国、7.4%成長に減速 目標届かず

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資金難で工事が停止し、ゴーストタウンと化した中国・陝西省神木県の開発区=2014年6月(共同)  中国国家統計局は20日、2014年の実質国内総生産(GDP、速報値)が前年比7.4%増だったと発表した。1989年の天安門事件後の国際的な経済制裁で3.8%に落ち込んだ90年以来、24年ぶりの低水準となった。不動産不況などが響き経済が減速した。

 米国に次ぐ世界第2位の経済大国である中国の成長鈍化は、国際経済の不安材料になりそうだ。

 不動産不況響く

 13年の7.7%から下落した。政府目標の7.5%も割り込んだ。政府目標を下回ったのはアジア通貨危機の影響で減速した98年以来16年ぶり。

 不動産開発投資の伸びが10.5%と、前年の19.8%から急減速した。建設ラッシュの反動で住宅が供給過剰になって売れ残りが増え、建設投資にブレーキがかかった。

 企業の設備投資などを含む固定資産投資の伸びも15.7%と、前年の19.6%から低下した。工業生産の伸びが鈍化したほか、消費動向を示す小売売上高の伸び率も前年を下回った。

 名目GDPは63兆6463億元(10兆2400億ドル)と、初めて10兆ドルを超えた。日本の14年度名目GDPの2倍以上となる見通し。首位の米国は14年、17兆ドルを超えたとみられる。

 生産人口減も足かせ

 14年10~12月期の実質GDPは前年同期比で7.3%増だった。習近平指導部は経済の急成長路線から脱却し、経済活動の質と効率の向上を重視する戦略だ。このため15年の成長率目標も、7.0%前後と低く設定する可能性が高い。

 また統計局は20日、労働力の中核となる16~59歳の生産年齢人口が、14年末時点で9億1583万人と、前年末と比べ371万人減ったと発表。近年、生産年齢人口の減少傾向が続いており、今後の経済成長の減速要因になりそうだ。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪構造改革に遅れ 投資計画連発≫

 中国の習近平指導部は経済成長の鈍化を容認し、安定成長路線に軟着陸させる方針だ。ただ成長維持に不可欠な産業の高度化や消費の活性化といった経済構造改革は遅れている。2014年のGDPの成長率が目標割れとなり、再び政府主導の公共投資頼みに陥る恐れもある。

 中国は公共プロジェクトや不動産投資を原動力に急成長を実現してきた。ただ高層マンションや無駄な公共施設の建設が相次ぎ、建物だけが残り住む人がいない「ゴーストタウン」が各地で出現している。

 産業発展の牽引(けんいん)役だった輸出企業は、労働者の賃金が上昇して国際競争力が急速に低下。生産拠点の東南アジアへの移転が始まった。環境汚染も深刻さを増し、急成長の負の遺産が山積みだ。

 政府はハイテク産業育成を目指すが、自動車などの主要産業で外資に対抗できる企業が育っていない。消費を拡大しようにも、社会保障制度が整っていないため庶民は貯蓄を取り崩すことができない。数々の規制が金融、サービス業などの発展を阻害している。

 政府は景気減速が鮮明になった昨年後半から、再び鉄道建設や都市開発などの投資計画を連発し始めた。景気下支えを投資に頼るしかない苦しい状況だ。(共同/SANKEI EXPRESS

 ■中国のGDP 中国は1978年に経済の改革・開放路線に転換して以降、GDP成長率が高まった。成長率が10%を超えた年も多く、2010年にはGDPが総額で日本を上回って米国に次ぐ世界第2位となった。ただ12年からは8%を下回っている。世界経済での存在感の高まりにより、中国の成長率の変化は0.1ポイント単位で注目されている。(共同/SANKEI EXPRESS

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