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経済
スシロー、ネタに「近大生まれのマグロ」 きょうから順次 大手外食で初
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釣り上げられた完全養殖クロマグロ=2013年4月、近畿大学水産研究所(松岡達郎撮影) 近畿大生まれの養殖クロマグロを大手回転ずしチェーン、あきんどスシロー(大阪府吹田市)が販売することが22日、分かった。23日から順次、販売を始め、2月4日から全店で展開する。6貫盛りで1058円。近大が生産に携わったクロマグロは直営店や一部小売りなどで販売されているが、大手外食が採用するのは初めて。
クロマグロは国際自然保護連合(IUCN)が絶滅危惧種に指定するなど、保護の必要性が指摘されているが、卵から育てた養殖マグロが一般的になれば、クロマグロ保護に一定の効果がありそうだ。また、大手外食が扱うことで、幅広い消費者が手頃な価格でクロマグロを食べられる。
近大は世界で初めて卵からのクロマグロ完全養殖に成功し、卵から成魚になるまで一貫して近大で育てたクロマグロを「近大マグロ」として出荷している。一方で、人工孵化(ふか)させた稚魚を外部に販売しており、水産会社や養殖業者が、それぞれのいけすで成魚まで育てる仕組み。
三菱商事の子会社で、刺し身用マグロの取り扱い最大手の東洋冷蔵(東京)が、近大から全長5センチ程度のクロマグロの稚魚を仕入れ、和歌山県串本町や長崎県五島市のいけすで2~3年かけて養殖。40キロ前後の成魚に育て、あきんどスシローに販売する。
東洋冷蔵は養殖したクロマグロを、独自ブランド「ツナプリンセス」として、スシローのほか鮮魚の専門店などに2014~15年度の2年間で約800トン出荷する計画だ。
スシローは22日現在で、全国383店舗を展開。産地にこだわったすしネタの提供に注力している。
≪販路を拡大、資源保護しつつ安定供給≫
回転ずしチェーンのスシローがすしネタとして、近畿大が卵の孵化を手掛けた養殖クロマグロを取り扱うことで、最先端の養殖技術がつまったマグロが、消費者にとって身近な食材となりそうだ。枯渇が懸念される天然マグロの数を回復させながら、安定供給を目指す動きも進んでいる。
これまで国内外のクロマグロ養殖は、捕獲した天然の成魚を太らせたり、天然の稚魚を捕獲したりして、成魚に育てて出荷するのが一般的で、天然のクロマグロ捕獲が必須だった。一方、近大は卵から人工的に孵化させ、稚魚まで育てる技術を確立したが、幅広い消費者に届ける販路拡大が問題となっていた。
充実した販路を持つ三菱商事グループが近大生まれのクロマグロを手掛けることで、販売面での課題は一歩前進した形だ。
三菱商事グループは今後、養殖と量産化の実績を積んで、あきんどスシローだけでなく、将来的にはスーパーなどへの販売も実現したい考えだ。
太平洋のクロマグロ漁獲の規制強化で、漁獲量の増加が見込めない中、天然資源に手を付けない養殖クロマグロの需要は今後もさらに強まりそうだ。(SANKEI EXPRESS)