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【プロ野球】「球春」到来 キャンプ行脚 ゴジラ行方は

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【プロ野球】「球春」到来 キャンプ行脚 ゴジラ行方は

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どっしりとした下半身、豪快なスイングは現役時代そのまま。松井氏はDeNAのキャンプでフリー打撃を披露した=2015年2月7日、沖縄県宜野湾市・宜野湾市立野球場(荒木孝雄撮影)  球春。球正月。

 球界の1年はキャンプインの2月1日に始まる。南から西から、快音が響く。今季はどんなドラマが繰り広げられるのか。2月の準備がすべてを決するという野球人もいる。

 DeNAの沖縄・宜野湾キャンプには5日、元ヤンキースの松井秀喜氏(40)が視察に訪れた。巨人の先輩、中畑清監督(61)の熱烈な要請に応えて実現したものだ。

 ゴジラ見たさに訪れた観衆は約2000人。報道陣は前日の36人を大きく上回る164人が集まった。中畑監督の策略がはまり、青いDeNAの球団ジャンパーを着込んだ松井氏が現れると、当の監督は「似合うね」を連発。「もともとウチの選手だったのかな」

 松井氏にすれば、12年前に59歳で亡くなった中畑監督夫人の仁美さんに自宅で振る舞われた食事の恩返しの意味が大きかったらしい。

 恩義につけ込む形でキャンプ招請にこぎつけ、ご満悦の中畑監督だが、それだけでは飽きたらず、嫌がる松井氏をついにフリー打撃の打席に立たせることにも成功してしまった。

 マウンドには巨人時代の盟友、高橋尚成。「球がしょぼくて打ちにくかった」といいながら、28スイング中、12スイング目の打球は高々と右翼席に届いてファンは大喜びだった。その後は30分にわたって子供のファンに即席のサイン会を設け、笑顔でペンを走らせた。

 関係者によれば、巨人、DeNAと渡り歩いたキャンプ行脚はすべて松井氏の自腹。あくまで「訪問させていただいただけ」なのだという。

 律義な松井氏らしいが、野球人としての本業は国内には求めていないようだ。2月中に米国へ戻り、フロリダ州タンパで、ヤンキースの臨時巡回コーチとして、主にマイナーリーグの選手らを教えるのだという。

 次期監督として、巨人からの熱いラブコールも聞こえてくる松井氏だが、本音はやはり「メジャーリーグで」ということなのだろう。

 ≪若武者もレジェンドも 投球に注目≫

 キャンプインからスポーツ紙の1面では松井秀喜氏の活躍が目立ったが、OBに主役の座を譲ってはいては、現役選手が寂しすぎる。

 最も活躍が期待される一人に、日本ハムの大谷翔平(20)がいる。今季も二刀流への挑戦を続ける。沖縄・名護キャンプでは、気温14度のなか、半袖姿で紅白戦のマウンドに立つ若さをみせ、早くも最速155キロを記録した。今季中に165キロ、将来的には170キロ到達の夢もある大器には、順調な成長を願うばかり。打者大谷としても、今季は主砲の中田翔と4番を争ってほしい。

 ベテランも頑張る。中日の山本昌(49)は8月11日の誕生日に50歳を迎える。

 すでに49歳5カ月。今季勝ち星を挙げれば、元ロッキーズのジェイミー・モイヤー投手の49歳5カ月を更新して、世界最年長勝利となる。まさに世界球界のレジェンドとなる日も近いのだ。キャンプの初ブルペンでは験を担いで50球の投げ込みをみせた。

 「復帰組」にも注目が集まる。夢や野望、大志を抱いてメジャーリーグに渡った選手らも成功者は一握り。再び日本球界で勝負する選手も少なくない。中でもソフトバンク・ホークス入りした「平成の怪物」松坂大輔(34)がどんな投球をみせるか、ホークスファンでなくても気に掛かる。

 国内8年で108勝の実績からすれば、肘の故障、手術があったとはいえ、米国8年で56勝の寂しい数字だった。甲子園からプロデビューにかけての速球やスライダーの切れ味を望むのは難しいとしても、大リーグ球団を渡り歩いた経験を日本のマウンドでみせてほしい。

 キャンプ報道で、東京のスポーツ紙の主役が松井氏なら、大阪のスポーツ紙でこの人をみない日はなかった。阪神臨時コーチの江夏豊氏(66)。伝説の左腕は若手には敷居の高い存在のようだったが、野球や投球を語らせれば、この人の右に出る人はいない。独特のオーラも含め、次第に若手投手の心をつかんでいったようだった。(EX編集部/撮影:荒木孝雄、中鉢久美子、森本幸一、松永渉平、中川春佳/SANKEI EXPRESS

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