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戦後70年談話有識者会議 座長に西室氏 人選配慮 未来志向へ「軟着陸」狙う

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戦後70年談話有識者会議 座長に西室氏 人選配慮 未来志向へ「軟着陸」狙う

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衆院予算委員会で民主党の岡田克也代表の質問に答える安倍晋三(しんぞう)首相。戦後70年談話に関する有識者会議では、さまざまな視点からの議論を尽くすことで、与党内や与論の理解を深めていく構えだ=2015年2月19日午後、国会・衆院第1委員室(酒巻俊介撮影)  政府は19日、安倍晋三首相が今夏に発表する戦後70年談話に関する有識者会議のメンバー16人を発表した。日本郵政社長の西室泰三氏(79)を座長、国際大学長の北岡伸一氏(66)を座長代理に据える。

 25日に初会合を開き、夏までに報告書をまとめて首相に提出。首相は報告書を踏まえて談話の内容を決定する。

 会議の名称は「20世紀を振り返り21世紀の世界秩序と日本の役割を構想するための有識者懇談会(21世紀構想懇談会)」。菅義偉(すが・よしひで)官房長官は19日の記者会見で「多様な視点から議論していただくため、歴史や政治に造詣の深い学者、言論界、ビジネス界など幅広い分野、世代の方にお願いした」と述べた。

 西室氏は東芝社長などを経て、日中両国の有識者が双方の関係のあり方などをめぐり意見交換する「新日中友好21世紀委員会」の日本側座長を務める。

 北岡氏は日本政治外交史の専門家。「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」でも座長代理を務め、昨年5月には集団的自衛権の行使容認をはじめとする新たな安全保障法制のあり方を首相に提言した。

 ≪人選配慮 未来志向へ「軟着陸」狙う≫

 安倍晋三首相が第2次政権発足直後に表明した戦後70年談話作成に向けた具体的な作業が動き始める。19日に発表された「21世紀構想懇」の人選は、歴史認識をめぐる表現に神経をとがらせる自民党ベテランや公明党との調整も念頭に置いたものだ。幅広い層の声を反映させた形を取りながら、首相が目指す新たな未来志向の談話発表へ慎重に“軟着陸”を狙っている。

 年代幅広く

 21世紀構想懇のメンバー16人は、最年長の西室泰三日本郵政社長から最年少の瀬谷ルミ子日本紛争予防センター理事長(37)まで幅広い年代の有識者を集めた。学者がやや目立つものの、会社経営者のほか、報道機関からは論調の異なる読売新聞と毎日新聞から1人ずつ選び、バランスを取った。慰安婦問題などを念頭に女性も3人入っている。

 首相は、民主党政権下の2012年8月の産経新聞単独インタビューで、過去の植民地支配と侵略を謝罪した戦後50年の「村山富市首相談話」に関し「(河野洋平官房長官談話なども含め)全ての談話を見直す必要がある。新たな政府見解を出すべきだ」と明言。12年12月に首相就任後は、歴代内閣の歴史認識を「全体として引き継いでいく」とトーンダウンさせたが、「首相の本音が村山談話の見直しなのは変わっていない」(周辺)という。

 首相の強い意志

 首相が強い意欲を持つ政策を実現させるため、首相が活用しているのが今回の21世紀構想懇のような有識者会議だ。短兵急に物事を進めた第1次政権の反省を踏まえ、有識者会議でさまざまに議論をさせながら、与党内や世論の理解を深めていく手法だ。昨年7月の集団的自衛権の行使容認の閣議決定前にも「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会(安保法制懇)」で前さばきの議論をさせ、とりまとめを実現した。

 こうした回りくどいプロセスを踏むのは、連立を組む公明党への配慮もある。公明党は村山談話の見直しに慎重姿勢で、山口那津男(なつお)代表は18日も70年談話に関し「(過去の談話と)全く意味の変わるものにならないように」と首相を牽制(けんせい)している。「70年談話の作成にあたっては21世紀構想懇の提言を踏まえる」という形を取ることで、公明党からも了解を得たい考えだ。

 今回の21世紀構想懇にも、京都大の中西輝政(てるまさ)名誉教授ら首相の考えに近い学識経験者が複数入っていることから「議論をリードしながら、思想信条の異なるメンバーの意見をまとめていく」(自民党幹部)との期待がある。

 菅義偉(すが・よしひで)官房長官は19日の記者会見で「今度の懇談会は70年の首相談話を書くことを目的としたものではない」と述べ、21世紀構想懇の提言は談話作成の参考にすぎないとの見方を強調。「談話を作成するのはあくまでも官邸」(政府高官)というのだ。

 談話作成にあたり幅広く意見を聞きながらも、主導権は絶対に渡さない。そこには歴史認識をめぐる首相の強い意志があるといえそうだ。(桑原雄尚/SANKEI EXPRESS

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