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南米の祭典 ブラジルでカーニバル 震災復興願う「立佞武多」登場
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サンパウロのカーニバルに登場した青森県五所川原市の立佞武多(たちねぷた)の人形灯籠。東日本大震災からの復興を願い、鹿嶋大明神がナマズを押さえつける姿が描かれている=2015年2月14日、ブラジル・サンパウロ(共同) 南米の真夏の祭典、カーニバルが今年も13日から17日までブラジル全土で行われた。リオデジャネイロのカーニバルが規模が大きいので世界的に有名だが第一の都市、サンパウロでは、青森県五所川原市の立佞武多(たちねぷた)祭りの巨大な山車(だし)が登場して大きな話題となった。
今年は日本とブラジルの外交関係樹立120周年にあたり、サンパウロの有力サンバチーム「アギア・ジ・オウロ」が「ブラジルと日本」をテーマにパレード。五所川原市から大型の立佞武多「復興祈願・鹿嶋大明神と地震鯰」が参加した。
この立佞武多は東日本大震災からの復興を願い、2012年に制作されたもので、鹿島神宮(茨城県鹿嶋市)の鹿嶋大明神が地震を起こすナマズを押さえつけている姿が描かれている。本来の高さは23メートルだが、カーニバルでは山車の高さ制限があるため、台座の一部を取り外して15メートルの高さでの出演となった。
立佞武多の制作者の福士裕朗さん(33)=五所川原市=は「寝ないでつくったかいがあった」と話していた。
日本からは立佞武多関係者以外にも多数が参加。サンバチーム「アギア・ジ・オウロ」に招かれてパレードに参加した神奈川県のダンサー、小口未来さん(33)は「観客の皆さんからのエネルギーがすごかった。それを受けて自分のエネルギーにできた」と興奮した様子だった。
チームの関係者が昨年8月に五所川原市を訪問した際、立佞武多を目にして「日本をイメージさせるのはこれしかない」と参加を要請したという。立佞武多の踊り手らの衣装はデザイナーのコシノジュンコさんが手がけた。
≪「リオの魂を具現化」100万人が熱狂≫
ブラジル最大規模のカーニバルが行われたリオデジャネイロ。13日から17日までの期間中、カリオカ(リオっ子)や観光客がサンバのリズムと熱気に酔いしれ、国内外から約100万人の観光客が押し寄せたとみられる。
市の施設で行われた13日の開幕式では、期間中に市を“統治”する「カーニバルの王様」が、権限を象徴する鍵をパエス市長から受け取った。
パエス市長は、リオ市が今年、創設450周年を迎えることに言及。「(リオには)多くの問題、課題、欠点がある」としながらも「リオの魂を具現化するものがあるとしたら、この祝祭、カーニバルだ」と訴えた。
カーニバルの目玉となる市中心部のメーン会場「サンボドロモ」では、15日夜から17日朝まで二晩夜通しでトップ12チームの豪華パレードが行われた。会場となった「サンボドロモ」は、2016年のリオ五輪でマラソンのゴールなどとして使われる市中心部の専用施設。
12チーム約4000人の踊り手らは、リオ市創設450周年やアフリカ文化などそれぞれのテーマでパフォーマンスを披露。大音響の音楽の中、羽根飾りを着け、肌もあらわにした女性ダンサーが激しく腰を振りながらサンバのステップを踏み、派手な装飾の巨大な山車や集団舞踏のダンサーらが次々と、長さ約700メートルのパレード会場に登場。観客を楽しませた。
豪華パレードとは別に、ブロッコと呼ばれる街頭パレードも行われ、地元メディアによると、先月17日から今月22日までで市内の計約450カ所以上で開催。市内はサンバの音楽と熱気に包まれた。
市当局によると、昨年のカーニバルでは約91万8000人がリオを訪問した。(EX編集部/撮影:共同、AP、ロイター/SANKEI EXPRESS)