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愛しのラテンアメリカ(20)ブラジル 南米の「顔」大瀑布イグアス
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遊歩道の最後にあるナイピエリアにはエレベーターが設置されており、上からの眺めを楽しむことができる=2013年4月26日、アルゼンチンとブラジルにまたがるイグアスの滝(緑川真実さん撮影) ヨーロッパからメキシコに飛び、約半年かけて中南米大陸を南下した。最後の訪問国ブラジルに入国する。ブラジルではイグアスの滝を紹介する。
ブラジルと国境を接するアルゼンチン側の街、プエルト・イグアスでビザを取得し、バスで国境を越える。国境といっても、日本のように海を越えるわけではなく、イミグレーションでパスポートにハンコを押してもらい、陸続きの土地を通過するだけなので、意外とあっさりしている。看板の標識や聞こえる会話がスペイン語からポルトガル語になり、通貨が変わるくらいだ。
ブラジルは南米大陸全体の面積、人口ともにほぼ半分を占める大国。人口はヨーロッパ系の移民と奴隷貿易で連れてこられた黒人の子孫、人口の1%にも満たない先住民そして混血の人々とバラエティーに富む。
また、ブラジルの地図北部を緑色に染める熱帯雨林、アマゾンや真っ白な砂丘で有名なレンソイス・マラニャンセス国立公園、大湿原のパンタナールなど大自然にも恵まれており、中でもアルゼンチンとブラジルにまたがる世界三大瀑布(ばくふ)のイグアスの滝には、世界中からひっきりなしに観光客が押し寄せる。
私もアルゼンチン側でイグアスの滝を訪問した後ブラジルに入り、再びブラジル側から向かった。観光拠点となる街「フォス・ド・イグアス」に滞在し、約30キロ離れたイグアス国立公園を目指す。
≪水が流れ落ちる迫力 スケールに圧倒≫
イグアス国立公園は面積が約1800平方キロあり、公園に到着してもまだ、滝は一向に見えてこない。ゲートから滝まであと約10キロもあるからだ。
園内を移動する専用の2階建てバスに乗車し、鬱蒼(うっそう)と茂る周辺の緑を眺めながら整備が行き届いた道路を走る。園内では他にもカヌーやサイクリングなどさまざまなアクティビティーを体験でき、所々に看板が立っている。
終点の1つ手前で下車すると、目の前に森が広がっていた。複数点在する入り口から1つ選び、遊歩道を進む。すると徐々に「ゴオー」という、轟音(ごうおん)が近づいてきて、森を抜けると一気に視界が開け、イグアスの滝が姿を現した。滝だけでなく、その壮大なスケールの風景に圧倒される。
いくつかの展望ポイントがあり、順番に巡る。一番爽快だったのは、川を遮(さえぎ)るように設置された、滝壺に続く遊歩道を進むときだ。大量に浴びる水しぶきが、イグアスの滝に来ている実感を倍増し、楽しくて仕方がない。回りの人々も立ち止まっては、笑顔で写真を撮っていた。
びしょぬれになってたどりついた展望台から、最大の滝「悪魔ののど笛」を見ると、滝壺に虹がかかっていた。アルゼンチン側、ブラジル側共に虹を何度も目にした。きっと晴れ間があれば、いつもかかっているのだろう。崖から豪快に水が流れ落ちる迫力、その隙間に静かにかかる鮮やかな虹が対照的に映った。
ブラジルに滞在したのは2カ月間。イグアスの後も大都会のサンパウロやビーチ沿いの陽気な街リオデジャネイロはもちろん、テーブルマウンテン(頂部が平らな台地状になっている山)が連なるバイーア州のシャパーダ・ジアマンチーナ国立公園や素朴なビーチが残るカライーバなど異なる顔をした街に滞在し、大国の底力を思い知った。国土が広いと、魅力あふれる自然や街並み、文化が無尽蔵に散らばっていている気がした。
今年1月から連載させていただきました「愛しのラテンアメリカ」は今回で終了致します。今まで読んでくださりありがとうございました。(写真・文:フリーカメラマン 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS)