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愛しのラテンアメリカ(17)ボリビア 先住民の権利拡大 ときに行きすぎ

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愛しのラテンアメリカ(17)ボリビア 先住民の権利拡大 ときに行きすぎ

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新しくオープンしたショッピンモール内のスケートリンク。ラパスの新名所として真っ先にホストファミリーが連れて行ってくれた。民族衣装を着た先住民系のお客はほとんどみかけない=ボリビア・ラパス(緑川真実さん撮影)  「マナミ、それは恐れているからよ」

 南米ボリビアで、先住民として初めて国のトップに選出されたエボ・モラレス大統領(54)。彼の就任に伴い貧困層の生活が改善するなど一定の成果が出ているのに、なぜ富裕層は政権に批判的なのか。ラパス日本人会に勤めるベティと話していると、そんな答えが返ってきた。

 彼女は続ける。「富裕層は公の場では政府を批判しない。実は先住民に負い目を感じているから。そして権利を拡大していく先住民に恐怖を感じているのも事実よ」と、ボリビア国民の心理を表現した。中間層に属しながら、モラレスの政策を評価する人に初めて会った。

 以前は社会に対する不満すら訴える術がなかった先住民たちが、モラレス就任後は「声」をあげるようになった。頻繁に遭遇したストライキやデモ行進からも見て取れる。自信を取り戻し、生き生きとしているのは、彼らのしぐさや表情から一目瞭然だった。

 大学に堂々と民族衣装で通い、テレビの先住民チャンネルではチョリータ(先住民女性)のスターが誕生し、政府が打ち出す政策はそれまで優先順位が低かった彼らに向けられる。

 ラパスの土産物店に勤めるパブロは、ラパスから50キロ以上離れた村の出身だ。モラレス就任前まで電気も通っていなかったが、現在は小規模でも電力供給があるとうれしそうに語った。

 ただその半面、勢いがときとして過剰な行動も生んでいるようにも見えた。たとえばラパスの空き地には「私有地」の看板がたち、進入できないように丸太と針金の柵が設けられている。以前は見られなかった光景だ。これは「元々は私たちの土地」と主張する先住民グループが、囲いのない他人の私有地に勝手に入り込み、占拠を始めたためだという。偽造書類まで作成していたというから驚きだ。

 ≪独自信念で進む大統領 批判と支持≫

 また、ネクタイ・スーツ姿のいわゆるホワイトカラーの男性が、路上で農民たちに無作為に襲撃される事件も起こっている。

 モラレス大統領は国際的にも存在感を示している。反米主義を貫くベネズエラやキューバと関係を深め、石油やガスなどの国の基幹産業の国有化に取り組み、グローバリズムを批判する。また、彼はもともとコカの葉の栽培農家だったこともあり、コカインの原料となるコカの葉栽培を規制する国際的な動きに反発。アンデスの先住民にとっては伝統的に服用してきた「聖なる葉」であることを強調して農家の保護を訴える。

 実際にボリビアでは、街のあちこちでポリ袋に入り山積みになった葉っぱが販売され、タバコ同様、お客も店員も口に数枚含んでかんでいる。コカ茶も高山病に効果があり薬用としても重宝されており、現地では「コカインの原料」というより、「日常の安価な嗜好(しこう)品」といった具合だ。

 また、彼は「ノーネクタイ」を公言し、公式の場へもボリビアの特産品、アルパカのセーターなどを着て現れる。国内外からの批判と支持を一手に浴びながらも、信念を曲げずに突き進むモラレス大統領。10月12日投票の大統領選挙まで1カ月を切ったが、現地からの報道によると、世論調査ではモラレス大統領が独走状態で、3選が確実視されているという。先住民大統領が描くボリビアの未来像は、どんなものなのか。今後も目が離せない。(写真・文:フリーカメラマン 緑川真実(まなみ)/SANKEI EXPRESS

 ■みどりかわ・まなみ 1979年、東京都生まれ。フリーカメラマン。高校時代南米ボリビアに留学、ギリシャ国立アテネ大学マスメディア学部卒業。2004年のアテネ夏季五輪では共同通信社アテネ支局に勤務。07年、産経新聞社写真報道局入社。12年に退社後、1年半かけて世界ほぼ一周の旅。その様子を産経フォト(ヤーサスブログ)とFBページ「MANAMI NO PHOTO」でも発信中。好きな写真集は写真家、細江英公氏の鎌鼬(かまいたち)。

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