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都市型人気 変わる市民マラソン 自治体主導 旅行会社とタイアップも
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東京マラソンの前日に行われたフレンドシップランを楽しむ参加者=2015年2月21日、東京都江東区有明(桐山弘太撮影) 全国各地で新しい市民マラソン大会が続々と誕生している。北陸新幹線開業を目前に控える富山、金沢などが1万人規模の大会を創設。ランニングブームを地域活性化につなげようと関係者の鼻息も荒い。
月刊誌「ランナーズ」を発行するアールビーズによると、マラソン大会は東京マラソンが始まった2007年以降、2倍以上に増加。昨年はアールビーズが関わったものだけで約2000大会に上ったという。「東京」の成功を手本とし、かつての主流だった郊外型から都市型の大会が増えているという。
新たな大会は自治体主導で始まるケースが多い。11月15日に号砲予定の金沢マラソンは、山野之義市長が10年に初当選した際の選挙公約だった。運営費約3億3000万円の約3分の1を市が負担し、残りは協賛金とランナーの参加料。これに対し、経済波及効果は12億円を見込んでいる。
目玉は旅行会社とタイアップした「優先出場権付きツアー」。大会組織委員会事務局は「せっかく金沢にきていただくので、温泉や食事も楽しんでもらいたい」と狙いを語る。そこには、大会を町おこしのツールとしても活用したいとの思惑がある。
もっとも、すべての大会が順風満帆ではない。京都マラソンは12年の第1回大会で警備計画の見通しが甘く、約2億3000万円の赤字に。結局、京都市が追加支出して穴埋めした。東京マラソンなど人気大会には参加申し込みが殺到するが、地方では定員割れを起こして申込期限を延長する大会も出ているという。
笹川スポーツ財団が昨年実施した調査によると、日本のランニング人口は推計986万人。12年の1009万人から微減したが、依然高い水準にある。一方、都市型大会は各都道府県に出そろいつつあるのも事実で、スポンサー集めも難しくなってきている。
「ランナーズ」の春城信宰副編集長は「(大会の)選択肢が無限にあるなか、わかりやすい特色のある大会は人気がある。経済効果だけを目的にするのではなく、地元の参画意識を育てることも必要」と話している。
≪東京マラソンきょう号砲≫
3万6000人のランナーが都心を駆ける東京マラソン(産経新聞社など共催)が22日、9回目の号砲を迎える。21日には「フレンドシップラン」が、大会のフィニッシュ地点となる東京ビッグサイト(東京都江東区)周辺で開催された。またスタート地点となる都庁周辺で、有力選手らが最終調整を行った。
フレンドシップランに参加したのは、46カ国・地域から集まった外国人とその家族532人と、一般公募の日本人782人の計1314人。
参加者たちは、快晴の下、5キロのコースを一緒に走り、途中で立ち止まって記念写真を撮影したり、ボランティアの子供たちとハイタッチをするなどし、思い思いに交流を楽しんでいた。
有力選手では、2012年ロンドン五輪や13年モスクワ世界選手権の男子マラソンを制したスティーブン・キプロティク選手(ウガンダ)が、3位に終わった12年東京マラソンの悔しさを糧に世界のトップに上り詰めたことに触れ、「成功は東京から始まった」と語った。(SANKEI EXPRESS)