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経済
【This Week】(2月23日~3月1日) 米、TPP合意向け法案提出へ 審議難航も
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日本記者クラブで会見するポール・ライアン歳入委員長(左から2人目)=2015年2月19日、東京都千代田区内幸町(AP) バラク・オバマ米大統領(53)に通商交渉の権限を一任する法案が、月内にも米議会に提出される見通しだ。大詰めを迎えている環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉を後押しする可能性があるが、法案審議は難航するとみられる。
法案は、合意した通商協定について、一括で無修正の議会承認を求められるようにする「貿易促進権限」を大統領に与える内容だ。権限がないと議会の反対で合意した内容が覆される恐れがあるため、通商交渉の妥結には不可欠とされる。
「提出準備の最終段階にある」。下院で通商政策を担当するポール・ライアン歳入委員長(45)は19日に記者会見し、法案提出に向けた与野党の調整が大詰めを迎えていると表明。上院側ではオリン・ハッチ財政委員長(80)が「法案可決は最優先課題だ」と早期の審議入りに意欲を示している。
通商族議員の間には、来年の大統領選に向けた動きが本格化する今年夏までに最終合意できなければ、TPPは漂流しかねないとの危機感がある。今年春までの大筋合意を前提に、最終合意までに関連法を成立させる必要があるが、過去の例では成立まで5~10カ月かかっており、日程は相当厳しい。
TPPに慎重な労働組合を支持基盤とする与党民主党では、法案に反対する運動が広がっている。野党共和党の一部もオバマ政権に権限を与える仕組みに抵抗感がある。オバマ大統領は1月の一般教書演説で、法案可決を「与野党に要請する」と強調。マイケル・フロマン通商代表(52)だけでなく関係閣僚を総動員して反対派を説得する構えだが、多数派工作は容易でなさそうだ。
委員会で無事に審議を終えても「本会議になれば、どんな弾が飛んでくるか分からない」(議会筋)とされ、政局に巻き込まれ審議が進まない危うさもある。日本をはじめTPP参加各国は行方を見守っているが、「法成立のめどが立つまで譲歩のカードは切らない」とする国もあり、交渉日程にも影響が及びそうだ。(共同/SANKEI EXPRESS)
一方、TPP交渉に参加する日本や米国など12カ国は、3月中旬に米ハワイで首席交渉官らによる事務レベル会合を開く。甘利明(あまり・あきら)TPP担当相(65)はTPP閣僚会合は「3~5月に開かれるだろう」との見通しを示しているが、「早いうちは厳しい」とも述べており、交渉は次第にタイトになっていきそうだ。(SANKEI EXPRESS)