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政治
日米首脳「アジア主導へ同盟強化」 豪で会談 ガイドライン再改定確認
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日米首脳会談のポイント=2014年11月16日、オーストラリア・クイーンズランド州ブリスベン 安倍晋三首相(60)は16日午前、バラク・オバマ米大統領(53)とオーストラリア・ブリスベン市内で約25分間会談し、「日米両国がアジア太平洋地域で主導的役割を果たす上で、日米同盟に基づく協力を堅持、強化することが重要だ」と強調した。両首脳は米軍と自衛隊の役割分担を定める「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定をはじめ、幅広い分野で協力を進める方針も確認した。政府筋によると、オバマ大統領は安倍首相と力強い握手を交わした。両首脳の正式な首脳会談は、今年4月以来。
会談の中で安倍首相は、「在日米軍再編にも強い決意で取り組む」と述べた上で、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の早期移設を念頭に、沖縄県の米軍基地負担の軽減に向けた取り組み強化を重ねて要請した。オバマ大統領は「安全保障チームを中心に協力していきたい」と応じた。
安倍首相は、オバマ政権が掲げるアジア重視の「リバランス政策」について改めて歓迎し、オバマ大統領が「同盟国に対する米国の防衛義務への決意を疑うべきではない」などと中国を牽制(けんせい)した15日の演説を評価した。
中韓両国との関係については「3カ国による会合の実現を目指したい」と意欲を表明し、オバマ大統領は「関係改善の動きを評価する。今後を期待する」と応じた。また、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の早期妥結を目指し、一層努力していくことを確認した。両首脳とも妥結時期への言及はなかった。
両首脳はこれに先立ち、オーストラリアのトニー・アボット首相(57)を交えた3カ国首脳会談をブリスベン市内で開いた。3首脳は会談後、3カ国の協力が全世界にわたるものであることや、海洋紛争を国際法などに基づき平和的に解決するための協力強化をうたった共同文書を発表した。文書には、3カ国の安全保障・防衛面での協力の深化や3カ国による共同訓練などについて、3首脳がそれぞれの政府に協力拡大を指示したことも明記された。
会談ではアボット首相から、防衛装備品・技術協力の分野で日本がオーストラリアへの技術提供を進める最新鋭の「そうりゅう」型潜水艦に関連する発言もあった。
安倍首相は、10日に中国の習近平国家主席(61)と初会談するなど日中間の新たな動きに言及し、「安定した日中関係を築いていきたい」と意欲を示した。航空機・艦船の偶発的衝突を避けるための日中防衛当局間の「海上連絡メカニズム」構築の合意なども説明した。
日米豪首脳会談が開催されるのは第1次安倍内閣時代の2007年9月以来、2回目。
一方、日米両政府は16日、開発途上国の温室効果ガス削減と気候変動への対応を支援する「緑の気候基金」(GCF)に対し、両国で最大45億ドルを拠出すると表明した。日本は最大15億ドル、米国は最大30億ドルを拠出する。日米両国以外ではこれまで、ドイツが最大10億ドル、スウェーデンが約5.5億ドル、韓国が1億ドル拠出することをそれぞれ表明している。(ブリスベン 阿比留瑠比/SANKEI EXPRESS)