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社会
【川崎中1殺害】リーダー格18歳 暴力で年下「支配」
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神奈川県警川崎署を出る容疑者の少年を乗せているとみられる車両=2015年2月27日午後、神奈川県川崎市川崎区(三尾郁恵撮影) 上村遼太(うえむら・りょうた)さん(13)が遺体で見つかった事件から1週間となる27日、捜査本部が置かれる川崎市川崎区の神奈川県警川崎署。午前8時45分ごろ、1台のタクシーが到着した。茶髪にピアス、マスク姿でうつむきながら、弁護士の男性とともにタクシーを降り、署に入っていったのが殺人容疑で逮捕された少年グループリーダー格の少年(18)だった。
「何も言いたくありません」。少年は供述を拒み、ともに逮捕された17歳の2少年も「近くにいただけ」「殺した覚えもない」と容疑を否認しているという。
リーダー格の少年は、不登校の生徒ら10人前後でグループを構成。「暴力で年下の少年を支配していた」(地元少年)という。
地元では、中学時代から同級生らに度々暴力を振るうなど、素行の悪さで有名だった。知人らによると、酒を飲んでいる姿も目撃されており、「酔うと暴力がエスカレートし、何をするか分からない奴」と知人らは口をそろえる。
棒やエアガンを常に持ち歩いていたといい、「集団の中に入り込んで、突然振り回すこともあった」(知人)。地元では、関わりを避ける生徒らが多かった。「強い者に逆らわず、弱い者しか相手にしなかった」(知人)とも言われる。
上村さんもリーダー格の少年から度重なる暴力を受けていたとみられる。
上村さんは1月ごろ、左目に殴られたようなあざをつけ、顔を腫らしていたことがあった。
知人女性(18)が上村さんに理由を聞くと「階段から転んだ」と説明。不審に思い、問い詰めると真相を打ち明け「本当にお願いだから、○○君(リーダー格の少年)にやられたって言わないでね」と話した。この時の様子について女性は「怖がってもいたし、かばってもいた。最後まで人を信じる子だった」と振り返る。
暴力は事件直前にエスカレートしたようだ。上村さんは無料通信アプリ「LINE(ライン)」で友人に「グループから万引するよう指示された。断ったら殴られた」。そして、こう続けた。「グループから抜けると言ったら暴力も激しくなった。もう限界だ。殺されるかもしれない」
当初、上村さんは少年ら年上グループを遊び仲間と思っていたようだ。しかし、実態は違っていた。
今年に入り、学校に行かなくなった。その理由について「(グループから)行くなと脅されている。学校に行きたい」と友人に話していた。グループからの不登校の「命令」。少年らは部活動や学校など社会との接点も断たせ、自分らに従うことだけを強要したとみられる。
「上村さんはグループの中で弱い立場、いじめられている立場だった」。捜査幹部はグループ内のいじめとみている。しかし、上村さんの友人らはもっと深刻に受け止めている。「まるで奴隷のようだった」
今回の事件の特異性は、殺害方法の残忍さや証拠隠滅の周到さという点でも、これまでの少年事件と比較しても悪質さが際立つ。
上村さんは首を複数カ所刺され、全裸で河川敷に放置されていた。結束バンドが付近から発見され、ひざにはあざがあった。上村さんに抵抗の痕はなかった。
「イスラム国の人質殺害映像をまねてひざまずかせ首を切った可能性もある」と捜査関係者は指摘する。
20日午前2時ごろの死亡推定時刻の1時間後には近くの公園トイレでぼやがあり、焼けた上村さんの靴底がみつかった。上村さんのスマートフォンを操作し、LINEで生存を装う偽装工作をした可能性もある。
「もともと純粋な性格に悪い友人関係があたっちゃったんだろうね。早く気づいて抜け出してあげられたらよかったのに…」。上村さんから暴力を打ち明けられた知人女性は、ため息を漏らした。
離島から転校してきた、あどけなさの残る13歳の少年はなぜ命を奪われなければならなかったのだろうか。
≪首相「大変ショック」 文科省は全国緊急調査≫
安倍晋三首相(60)は27日の衆院予算委員会で、上村(うえむら)遼太さんが遺体で見つかった殺人、死体遺棄事件に絡み、「大変ショックを受けている。再発防止策をしっかりと考えていかなければならない」と述べた。
首相は事件について「新しい生活、希望に胸をふくらませていた尊い命が無残な形で卑劣に奪われた。遼太君の気持ちを考えると哀れでならない」と語った。さらに「子供たちを守るのは私たち大人の責任だ」と強調。「学校、教育委員会、警察、児童相談所との連携が十分だったのかも含めて検証する。二度と起こさない決意で取り組む」と続けた。山本有二氏(62)=自民=の質問に答えた。
一方、文部科学省は27日、今回の事件を受け、全国の小中高校と特別支援学校を対象に、日曜など学校がない日を除いて7日以上連続で連絡が取れず、生命や身体に被害が生じる恐れのある児童・生徒がいないかどうか、緊急調査することを決めた。調査は3月9日までで、成人など学校外の集団と関わり、同様に被害が生じる恐れのある児童・生徒の報告も求める。
文科省の担当者は「把握した事案は、直ちに安全確保を図ってほしい」と話している。(SANKEI EXPRESS)