SankeiBiz for mobile

病気乗り越え「強くなれた」 萩原智子

記事詳細

病気乗り越え「強くなれた」 萩原智子

更新

 私も経験した「不安」

 私も現役時代、婦人科系の病気である「子宮内膜症・卵巣嚢腫(のうしゅ)チョコレートのう胞」を患い、手術を決断した。病気が分かったときは頭が真っ白になり、「水泳」の存在が一瞬にして消えてしまったのを今でも覚えている。それまで腰痛や肩痛など外傷的な故障をすることがあっても、内臓系の疾患は経験がなかった。

 プールに入らない時間が苦しかった。本当にもう一度泳げるようになるのか、不安で不安で仕方がなかった。練習を再開して1カ月でレース出場を決断。現状を知るためにレースで泳いだが、思うように泳げない自分にショックを受けた。良い泳ぎはできないだろうと覚悟を決めていたにも関わらず、現実を突き付けられ落ち込んだ。「たった3カ月練習しなかっただけで、こんなにも体力が落ちてしまうんだ」。現実を思い知った。

 振り返ればとても苦しい経験だ。しかし、病気をしたことで、私は強くなれた。弱い自分ととことん向き合うことができた。苦しく、エネルギーは使うが、自身の弱さを認められたとき、初めて本当の強さを心に秘めることができた。

ランキング