ニュースカテゴリ:EX CONTENTS
国際
朴大統領就任2年 高まる変化求める声
更新
韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(63)が就任してから2月25日で2年となった。周囲とうまく意思疎通ができず「不通(プルトン)」と揶揄される閉鎖的な政治スタイルや不況、大事故の影響で支持率が低迷する中、来年4月には総選挙を迎える。朴政権に変化を求める声も高まっており、韓国各紙も社説の中で苦言を呈している。そんな中、新しい大統領府秘書室長の人事が注目されていたが、朴大統領は2月27日、前駐日大使の李丙●(=王へんに其、(イ・ビョンギ)国家情報院長(67)を起用することを決めた。
この人事に先立ち、朝鮮日報(電子版、2月23日)の社説は、「この(朴大統領就任)2年間に対する国民の評価は決して甘くない。与党議員たちも全国で国民の冷たい視線を感じたという」とした上で、「朴大統領はまもなく任命する大統領府秘書室長が『やり直そう』という覚悟を持てるよう仕向け、そのようなムードが内閣全体に広がるようにしていくべきだ。現政権の基本姿勢であり、国民に対する義務だ」と注文を付けた。
中央日報(電子版、2月23日)の社説は、「2年前の就任と比較すると荷重は大きく、展望は良くない」と否定的に捉えた上で、「現在、最も急がれる機能は『疎通』だ。大統領府秘書室長は大統領と国民、大統領と党・政府・大統領府の間で効率的な橋にならなければいけない。そのためには秘書室長自身が朴大統領と隔意なく疎通する必要がある」とし、「秘書室長は『自己隔離』に陥っている大統領を国民と結びつけなければいけない」と主張した。また、朴大統領と与党に対する評価や未来への期待(次期候補支持度)のいずれも劣勢になっていることについて、「不通の分裂が招いた自業自得」「国のために大統領と与党は心機一転する必要がある」と断じた。
東亜日報(電子版、2月23日)の「政権3年目を迎える朴大統領、首相と大臣に権限を分けよ」と題した社説は、「1年前、50%台後半から60%台前半だった朴大統領の支持率は、今では30%前半と低迷している。これまで朴大統領を支持していた層でも支持離れが起きていることに対して、朴大統領は危機意識を持たなければならない」と忠告した。
続いて「財政難にも関わらず福祉の構造調整には関心がなく、『増税なき福祉』に固執している。対日外交は冷え切っている。『統一大当たり』(北朝鮮との統一は将来的には大きなプラスになるといった意味)を掲げても南北関係に変化は見られない。原則と現実の調和がうまくいかない」といった朴大統領の失政の具体的な事例を列挙した。
さらに「朴大統領の国政スタイルは、すべてを一人で取り仕切るという印象を与える。それでは成果を出すことは難しい。不満が大統領に集中せざるを得ない。政権3年目を迎え『自分から変わる』という覚悟を見せなければならない。首相と大臣に自律性を与え、権限と責任を分けるべきだ。閉鎖的で堅いイメージの国政運営方式を意思疎通と共感、柔軟性を高める方向に変える必要がある」と訴えた。
左派・革新系のハンギョレ(電子版、2月24日)は「朴大統領が持っている多くの問題点の中でも、とくに核心的なものを挙げろと言うなら、自らに対する省察と反省はせずにいつも言い訳と人のせいにするという一貫したスタイルではないだろうか。このような態度が政権はもちろん国全体の変化と発展を妨げる最大の障害物として作用してきた。朴大統領就任から2年過ぎた現在、国家が相対的に乱気流に陥り、大統領個人の支持率が急降下したのも朴大統領のこのような頑固一徹な態度に起因するところが大きい」とし、「就任以降のこの2年は“変わりなさい”という国民の要求と、“変わらない”という大統領の意地が果てしない平行線を辿った歳月でもある」と手厳しく批判した。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS)