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【大塚家具】「社長有利」の声 会長は増配上積み 委任状争奪が本格化

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【大塚家具】「社長有利」の声 会長は増配上積み 委任状争奪が本格化

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委任状争奪戦を繰り広げる大塚勝久代表取締役会長=2015年2月25日、東京都千代田区(蔵賢斗撮影)  “お家騒動”の勝者は父か娘か-。父で創業者の大塚勝久会長と長女の久美子社長が経営の主導権争いを続ける大塚家具は6日、3月27日の株主総会の招集通知を発送し、委任状争奪戦(プロキシファイト)が本格的に始まった。大株主のうち機関投資家は会社寄りとされ、「久美子氏有利」との下馬評もある中、勝久氏は6日、久美子氏側を上回る年間120円への増配計画を発表し、形勢逆転を狙った。

 戦いの火ぶたが切られた6日、両陣営が早速動いた。

 久美子氏は都内の本社で、改めて記者会見。「長年、株主様とはいいコミュニケーションを築いてきた」と“支持”を訴えた。

 一方、勝久氏も負けていない。久美子氏が2月26日発表の「中期経営計画」で、2015年12月期の年間配当を80円に引き上げる方針を示したのに対抗し、勝久氏は6日公表の「企業価値向上策」で120円とする計画を発表した。いずれも、「浮動票」といわれる個人株主の支持を狙った“公約”といえる。

 現時点で久美子氏を支持するとみられるのは、前回の社長在任中から投資家向けの情報開示活動などを通じて親しい米投資ファンド「ブランデス・インベストメント・パートナーズ」。これに加え、創業家の資産管理会社「ききょう企画」も、久美子氏や「姉を母親のように慕う」(関係者)妹らが役員をつとめる。両者を合わせると、持ち株比率は約20%に達する。

 一方、勝久氏の「固定票」は自身の約18%に加え妻や弟を合わせた約22%で、久美子氏に匹敵する。しかし、残る大株主である生命保険などの存在が「久美子氏有利」の根拠となっている。日本の機関投資家は会社側につく傾向が強く、金融機関の一部から「久美子氏に理がある」との声も出ているからだ。

 勝久氏は、ききょう企画が持つ大塚家具の株式が不正に久美子氏名義になっているとして提訴しているが、結論は間に合わない。勝久氏の最後の砦は少数株主や個人株主。こうした株主は、勝久氏の古くからの取引先に多くいるという。

 ただ、総会で決議された後も、負けた側から相手の取締役解任などの緊急動議が出ることがありうる。また総会後も、決定の取り消しや無効を求める訴訟が起こされ、父娘の争いが「泥沼」にはまりこむ可能性もある。(山口暢彦(SANKEI EXPRESS

 ≪過去にはTBSと楽天も≫

 委任状争奪戦(プロキシファイト)とは、株主総会で経営陣や株主が自分の提案を可決させるため、ほかの株主に働きかけて議決権行使の委任状を集め、多数派工作すること。「プロキシ」は英語で、代理や代理権、委任状を意味する。

 一般的には、会社に敵対的買収を仕掛ける側が、会社側の取締役候補者案に反対し、自らが推す候補者を経営陣に送り込むための手段として行うことが多い。

 日本では、TBSと楽天の例が有名だ。TBSに経営統合を迫っていた筆頭株主の楽天が、2007年6月のTBSの株主総会で、「買収防衛策の導入基準の引き上げ」「三木谷浩史会長兼社長らの社外取締役選任」を求め、株主提案を実施。両者の間で激しいプロキシファイトが繰り広げられたものの、楽天案は株主の賛同を得られず、否決された。

 投資ファンドが絡んだ事例では、米系のスティール・パートナーズ・ジャパン・ストラテジック・ファンドが07年3月のサッポロホールディングス(HD)の株主総会で、会社側による買収防衛策導入案に反対してプロキシファイトを展開。このときも株主の多数は会社側につき、導入提案が可決されている。(SANKEI EXPRESS

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