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【取材最前線】選手の自主性が生む真の強さ
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6年ぶりに「春の高校バレー」を取材した。全国高校選抜優勝大会として1、2年生のみで3月に行われていた大会は、2011年に一新され、現在は3年生も出場する全日本高校選手権として1月に東京体育館で開催されている。思わず笑ってしまったのが、男子の準々決勝後に目にした光景だ。選手権28大会ぶりの4強進出を決めた愛工大名電(愛知)の北川祐介監督が3年生を集め、話し合いをさせたのだ。
現役時代、Vリーグで5度のブロック賞に輝いた経歴を持つ指揮官。与えた議題は準決勝までの2日間、チームとして一度地元に帰るか、東京に残るか、だった。「すぐ戻ってくるの、きつくない?」「でも1回、家の枕で寝たいんだよな」-。監督が決めて伝えればいいだけの「案件」に映るが、そこは準々決勝前、「この試合はお前たちに任せた。悔いのないよう、自分たちで考えて戦え」と選手を送り出した37歳の青年監督。生徒たちに自ら考えさせようという姿勢はコートの外に出ても変わらなかった。
振り返れば女子で高校総体、国体との「3冠」を果たした金蘭会(大阪)の池条義則監督も、試合中はベンチにどっかりと腰を下ろしたままだった。「結局やるのは選手。試合になったら指示なんて聞こえないし、ならば自分たちでやれるようにと普段から指導してきた」と話す。男子で初優勝した東福岡は生活面の指導を徹底する藤元聡一監督の下、自主的なゴミ拾いが習慣となり、「今年以上に強いチームは過去にもあったが、今年はいいチームだった」と指揮官をうならせた。
一方で有力選手を抱え、上位進出を期待されながら力を出せずに敗れたチームの中には、派手なアクションと大声で指示を送る監督も。選手は対戦相手よりコートサイドが気になったのか、オロオロとプレーしていた。毎年メンバーが入れ替わる環境では、おそらく事細かく指示する方がチーム作りは早いだろう。ただ窮地で試される真の強さは、日頃から自主性を養っておかないと備わらないように映った。
もっとも選手から「愛知に帰ります」と告げられた北川監督は「いや、体力的に厳しいから残ろう」と伝えた。重要な決断を下すのもやはり指揮官の大きな仕事である。(奥村信哉/SANKEI EXPRESS)