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独特の歌声・世界観、修道女 イタリア発の異色歌手 ジョー・バルビエリ、シスター・クリスティーナ
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イタリア人シンガー、ジョー・バルビエリ(提供写真)。(C)Marco_Rambaldi 冬も終わりが近づき、すっかり春の兆しを感じてしまう今日この頃。こうなると、陽光まぶしい南ヨーロッパあたりに行ってみたくなる。なかでもイタリアは、気候も音楽も原色のイメージ。オペラやカンツォーネの歴史がしっかりとあり、ポップスに関してもラテンに近いテイストが主流だ。しかし、そんなイタリアのシーンにも個性派がたくさん存在する。今回はちょっと異色のイタリア人シンガーを紹介しておきたい。
まずは、シンガー・ソングライターのジョー・バルビエリ。ナポリ出身の彼はもともとバンドで活動していたが、1993年にソロでデビューを果たす。以来、20年以上も一線で活躍している。彼の特徴は、なんといってもそのソフトな歌声。ジャズのレジェンドであるチェット・ベイカーやブラジルの至宝といわれるカエターノ・ベローゾを引き合いに出される美声は、朗々としたイタリア音楽の系譜とはちょっと違うが、おしゃれな雰囲気はこの国らしいといってもいいかもしれない。往年のジャズやボサノバ、イタリアンシネマのサントラなどから影響を受けたアレンジも含め、独特の世界観には熱狂的なファンも多い。新作「アパートメントの宇宙飛行士」も色鮮やかな世界が展開されており、まるで映画を見ているような感覚にさせられるスタイリッシュな一枚だ。
異色といえば、シスター・クリスティーナほどユニークな存在はいないかもしれない。現役の修道女でありながら、普段の格好のまま「ザ・ボイス・オブ・イタリー」というオーディション番組に出演。アリシア・キーズのナンバーを熱唱し、一夜にしてスターの座を射止めた。その後ユニバーサルミュージックと契約し、昨年末にヨーロッパでデビュー。日本でもアルバム「シスター・クリスティーナ」が大きな話題になっている。マドンナの「ライク・ア・ヴァージン」をはじめ、シンディ・ローパーやコールドプレイのカバーを中心にセレクトした本作からは、歌のうまさが伝わるだろう。イタリア語曲が少ないのは少し残念だが、オリジナル曲の「ラモーレ・ヴィンツェーラ」を聴く限りではまだまだ引き出しはありそう。今後の展開に期待したい一人である。(音楽&旅ライター 栗本斉(ひとし)/SANKEI EXPRESS)