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中国 「サボり公務員」に危機感
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3月15日、全人代の閉幕直後に言葉を交わす中国の習近平国家主席(左)と李克強首相。政権のトップ2は、反腐敗運動の思わぬ副作用に頭を悩ましている=2015年、中国・首都北京市西城区の人民大会堂(AP)
中国の習近平政権が、官僚のサボタージュに危機感を募らせている。「トラもハエもたたく」との表現で、高級幹部から地方の役人まで地位を問わずに取り締まるとする反腐敗運動が吹き荒れる中、出る杭(くい)は打たれるとばかりに事なかれ主義を決め込み、積極的に仕事をしない地方公務員や末端公務員が相次いでいるのだ。
李克強(り・こくきょう)首相(59)は全国人民代表大会(全人代=国会)開幕日の5日、政府活動報告の中で「職責を果たしていない者、怠けている者に対しては、白日の下にさらして責任を断固追及しなければならない」と訴えた。共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙・環球時報(3月6日付)によれば、こうした内容が政府活動報告に盛り込まれたのは初めてという。
一方、3月6日付の中国紙・北京青年報は李首相が怠慢公務員に言及するのは決して初めてではないと指摘。2月26日の国務院(内閣に相当)会議で公務員のサボタージュを厳しく非難していたばかりだったとする。
また北京青年報によれば、2014年以降、全国の31省・直轄市・自治区ではこのサボり現象に対して是正運動が展開されたが、その結果は依然として楽観できない状況だ。サボりの是正における基準がはっきりしておらず、明確に法制化されていないことが原因に挙げられる。
昨年の国内総生産(GDP)の実質成長率が前年比7.4%と24年ぶりの低水準となる中、これまで高度成長に覆い隠されてきた社会矛盾の解決や、景気の底上げなど中央、地方を問わず政府がやるべきことは山積している。
そうした重要な時期でありながら公務員のサボタージュが横行していることに、中国メディアも一斉に警鐘を鳴らし始めた。
3月6日付の中国紙・京華時報は「新常態(ニューノーマル)の下での怠慢は許されない」との見出しを掲げ、「位についているだけで仕事をせず、改革発展の時期に誤りを残すのは一種の権力乱用だ」と怠慢公務員の風潮を批判した。
3月7日付の中国紙・新京報も“サボり公務員”の問題について特集。怠慢な態度の公務員には3つの心理的兆候、すなわり「ごまかし」と「恐れ」、「待ち」があるとする地方政府の研究を紹介した。
「ごまかし」とはどのような状態か。賄賂や接待などは一切受けつけず表面上は「清潔な」公務員だが、その実態はやるべき仕事や調整を行わない勤務態度を指す。
「恐れ」とは、間違いを犯すリスクを恐れ、自主的に動かなくなる状態だ。
「待ち」は末端の公務員によくある心理で、近いうちに抜擢(ばってき)される希望もないことから、ひたすら年功序列で順番が回ってくるのを待っている状態だという。
「反腐敗の圧力が大きい中で、一部の公務員は仕事の原動力を失っている」。全人代の広東省のある代表は新京報にこう語っている。現実的な問題として、通常は1日で得られる許認可審査に、30日もかかってしまう現象が起きうるのだという。
こうした行為が全国に広がれば、経済成長の減速に拍車をかける恐れもある。
反腐敗運動が生んだ“副作用”にどう対処するのか。習政権にとって頭の痛い問題だが、司法も怠慢公務員の排斥に向け援護射撃を始めたようだ。
12日に中国の最高人民検察院(最高検)が発表した活動報告は、「人民から強烈に批判されているサボタージュ官僚や職権乱用の問題について、積極的に対応した」と強調。こうした「職を汚す」犯罪については昨年1年間に前年比6.1%増となる1万3864人を立件したという。(国際アナリスト EX/SANKEI EXPRESS)