3月15日、全人代の閉幕直後に言葉を交わす中国の習近平国家主席(左)と李克強首相。政権のトップ2は、反腐敗運動の思わぬ副作用に頭を悩ましている=2015年、中国・首都北京市西城区の人民大会堂(AP)【拡大】
【国際情勢分析】
中国の習近平政権が、官僚のサボタージュに危機感を募らせている。「トラもハエもたたく」との表現で、高級幹部から地方の役人まで地位を問わずに取り締まるとする反腐敗運動が吹き荒れる中、出る杭(くい)は打たれるとばかりに事なかれ主義を決め込み、積極的に仕事をしない地方公務員や末端公務員が相次いでいるのだ。
全人代で異例の言及
李克強(り・こくきょう)首相(59)は全国人民代表大会(全人代=国会)開幕日の5日、政府活動報告の中で「職責を果たしていない者、怠けている者に対しては、白日の下にさらして責任を断固追及しなければならない」と訴えた。共産党機関紙、人民日報傘下の国際情報紙・環球時報(3月6日付)によれば、こうした内容が政府活動報告に盛り込まれたのは初めてという。
一方、3月6日付の中国紙・北京青年報は李首相が怠慢公務員に言及するのは決して初めてではないと指摘。2月26日の国務院(内閣に相当)会議で公務員のサボタージュを厳しく非難していたばかりだったとする。