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【坂上忍の白黒つけて何が悪い!】ファンならもれなく楽しめるけどね

 実はわたし、英ロックバンド「デュラン・デュラン」の大ファンなんです。ピンポイント世代な上、ブリティッシュ・ロックにハマってた時期がありまして。カジャグーグー、カルチャー・クラブ、スパンダー・バレエ、ハワード・ジョーンズ(60)…と、数え上げればキリがない。

 ハマりすぎ一人ロンドンへ

 ハマりついでに18歳の時にロンドンに一人行っちゃってね。かなりイキがってましたから、ヒースロー空港に着いたその足で予約しておいた美容院に駆け込んだんです。当時、ワム!のヘアメークをやっていた方がその日はいるっていうんで。で、金髪に染めてもらっちゃって。今思えば、恥ずかしいなんてもんじゃない。

 夜もね、一人でクラブをはしごして、モヒカンのお兄ちゃんしかいないようなとこにも足を踏み入れて。そしたらね、日本人の女性がいたんですよ。ぼくよりも10歳ぐらい上だったと思うんですが。で、その人が踊っているぼくに近づいてきたんで、そりゃあ、一緒に踊っちゃいますよね。そしたら、今でも忘れない。気がついたらモヒカンのお兄ちゃん4、5人に囲まれて表に連れてかれて。

 はい、袋叩きにあいました。ボッコボコです。「ジャップが生意気になに女と踊ってやがんだ!」ってことなんでしょうね。今思いだしてみても悲惨だったな~。

 リンチが撮る必要ある?

 で、そんなデュラン・デュラン大好きのロンドンフェチなわたしですから、この映画「デュラン・デュラン:アンステージド」は当然楽しめました。キーボードのニック・ローズ(52)を中心とするメンバーさんは年をとりましたが、それでも格好いい。サイモン・ル・ボン(56)の歌声も全盛期そのままでね。

 ただ、ただなんだよな~。そりゃあファンにはたまらないですよ。だってファンってそういうもんだし。でもね、この映画を「映・画として捉えられるか?」と問われれば…わたしはNOでした。

 監督は「ツイン・ピークス」のデビッド・リンチ(69)。彼の映画を見れば音楽に精通していることは一目瞭然(りょうぜん)。だから、そこそこ期待はしてたんですが、正直言って、リンチが撮る必然性を全く感じなかったので。

 要するに、ライブの様子を垂れ流ししているだけですから。メンバーのインタビュー映像がインサートされているわけでもなく…。インタビューがあればね、リンチにしかできない切り込み方とか、メンバーの人となりの掘り起こし方とか、やりようはあったと思うんですが、それもなし。

 だったら、映画って謳(うた)わなくていいじゃん。ライブDVDを作ればいいんじゃないの?ってね。

 申し訳ないが「批評外」

 まぁ、最近は映画もDVDも境目が曖昧(あいまい)になってる時代ですが、それでもわたしは「映画」にこだわりたいんですよね。

 だって、作るのがほんとに大変なんだから。作っただけで、たいしたもんなんだから。だから、無意味な批判はしたくないのが本音であって。でも、誰でも好みはありますからね。と考えると、この作品は好きにも嫌いにも入らないのよね。だって映画じゃないから。わたしは認めたくないので。よって、申し訳ありませんが批評外の作品とさせていただきます。まぁ、こういうこともあるのが、また映画だったりするのかな。

 ただ、デュラン・デュランのファンの方なら、間違いなく楽しめますよ。サプライズ・ゲストも登場したりして、なにより感心したのは、メンバーの体形が予想以上に維持されていたこと。かくいうわたしももれなく中年族ですからね、見習わなきゃと思いました。

 でもね~、リンチファンの方は、もしかしたら腹が立つかもしれないな~。リンチさん、あなたこんなところで小銭稼いでたんですね…ってね。(俳優、タレント 坂上忍/SANKEI EXPRESS

 【STORY】

 鬼才、デビッド・リンチ監督と英人気ロックバンド「デュラン・デュラン」がタッグを組んだライブドキュメンタリー映画。アーティストと映画監督がコラボレートするオンラインコンサート「Unstaged」シリーズとして、2011年3月23日、米ロサンゼルス・マヤシアターで開催されたライブの模様を追う。スペシャルゲストたちも登場し、デュラン・デュランと夢の共演を果たす。4月17日から全国順次公開。

 ■さかがみ・しのぶ 1967年6月1日、東京都生まれ。俳優、タレント、歌手、映画監督、演出家とマルチに活躍。3歳より劇団に所属。多くのテレビドラマに子役として出演し「天才子役」と呼ばれた。テレビのレギュラー番組は、「有吉ゼミ」「あのニュースで得する人・損する人」(日本テレビ系)、「バイキング」「アウト×デラックス」「ダウンタウンなう」(フジテレビ系)。著書に「力を引き出すヒント」(東邦出版)など。

 ※映画紹介写真にアプリ【かざすンAR】をインストールしたスマホをかざすと、関連する動画を視聴できます(本日の内容は6日間有効です<2015年4月8日まで>)。アプリは「App Store」「Google Playストア」からダウンロードできます(無料)。サポートサイトはhttp://sankei.jp/cl/KazasunAR

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