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【ネパール大地震】死者2300人超 1邦人犠牲 「氷の壁が襲ってきた」 一瞬の恐怖
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地震で発生した雪崩に巻き込まれたエベレストのベースキャンプ=2015年4月25日(アジム・アフィフ氏撮影・AP) ネパール大地震で現地の日本大使館は26日、世界最高峰エベレストでの雪崩に巻き込まれ日本人男性1人が死亡、日本人女性1人が負傷したと明らかにした。いずれも50代。2人はヘリコプターで首都カトマンズの病院に搬送された。
地元メディアによると、地震の死者はネパールで2254人に達し、近隣国と合わせ2300人超が犠牲となった。
ネパールだけで約5000人が負傷し、政府はカトマンズなどで行方不明者の捜索を続行。インドと中国の救援隊が現地に到着、日本の国際緊急援助隊も現地へ向け出発し、国際支援の動きが本格化した。
大使館は日本時間の26日午後7時半現在、雪崩で死傷した2人以外にネパールで日本人の死傷者の情報はないとしているが、確認作業を続けている。日本の旅行会社などによると、地震後に安否不明だった日本のトレッキングツアー客らは無事が確認された。
ロイター通信によると、25日の地震後に雪崩が起きたエベレストでは17人の遺体が収容され、エベレストでの過去最悪の惨事となった。国籍の内訳は不明。
26日もマグニチュード(M)6.7の余震があり、エベレストで新たな雪崩が起きた。近隣国の犠牲者はインドで57人、中国で18人、バングラデシュで4人となった。
カトマンズなどでは通信、交通インフラが寸断されており、被害状況の把握にはなお時間がかかる見込み。歴史的建造物など多くの建物が倒壊したため救助活動は難航している。余震も続いており、25日夜は多くの人々が屋外で過ごした。
ネパールで約80年ぶりの大規模な地震災害を受け、米政府は救助隊派遣のほか、緊急措置で100万ドル(約1億2000万円)の資金拠出も決定。英国、ドイツ、イタリアなども支援を表明した。
ネパールには日本人約1000人が在住。観光シーズンに入り、旅行者やトレッキング客も多数滞在しているとみられる。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪「氷の壁が襲ってきた」 一瞬の恐怖≫
轟音(ごうおん)とともに山の上方から迫る大量の氷と雪。シェルパは恐怖の叫び声を上げ、登山家らが一斉に逃げだした-。25日のネパールの大地震が、世界最高峰エベレストで引き起こした雪崩。一瞬にしてベースキャンプの一部と各国の登山家らをのみ込み、エベレスト史上最悪の惨事となった。
「氷の壁が襲ってきた」。AP通信によると、マレーシアの登山チームのアジム・アフィフさんは揺れを感じてテントから出て、雪崩を目撃した。「逃げろ」という大声。必死に逃げ場を探した。
ルーマニア人のアレックス・ギャバンさんはツイッターで25日夜、緊迫したキャンプから、登山家らが協力して負傷者の救助や行方不明者の捜索に当たっていると報告。「多くが亡くなり、さらに多くが負傷した。早く救助が来なければもっと多数が死ぬ」と訴えた。
ネパールの登山関係者によると、雪崩は複数発生。当時キャンプには外国人400人を含む約1000人がいたが、多くのテントが雪に埋まり、登山具が散乱。遺体が次々と収容された。
天候が悪く通信手段が脆弱なため、ヘリによる救助活動が思うように進まないという。
またロイター通信などによると、標高約5000メートルのベースキャンプより高い位置にある「キャンプ1」と「キャンプ2」から下山するルートが破壊されたため、計約100人が取り残された。
犠牲になった登山家の国籍の内訳は不明だが、米CNNテレビ(電子版)は複数の米国人が含まれると報道。「この悲しみは言葉にできない」との遺族の声を伝えた。
エベレストでは、昨年4月にも登山ガイドらが雪崩に巻き込まれ、16人が死亡・行方不明となった。
事故から1年を経て今年の登山許可数は昨年を既に上回っており、エベレストに登山者が戻り始めたさなかの悲劇だった。
ネパール当局によると、今年のエベレスト登山許可数は22日までに357。2011年から雪崩事故が起きた昨年までの許可数は年間261~347で、今年は過去5年間で最も多くなった。
ネパール当局者は「昨年の事故で登山できなかった人々が、あらためて挑戦したため」と増加の理由を説明する。昨年、高額な登山料を支払いながら雪崩事故を受けて断念した挑戦者に対しては、登山料減額などの措置があったとされる。
今年5月のエベレスト登山シーズンでは、冒険家の三浦雄一郎さんが80歳で打ち立てた史上最高齢の登頂記録に、ネパール人男性登山家、ミン・バハドゥール・シェルチャンさん(83)が挑戦することが判明していた。(共同/SANKEI EXPRESS)