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【女子ゴルフ】フジサンケイレディス 劇的幕切れに 泣いて笑って

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【女子ゴルフ】フジサンケイレディス 劇的幕切れに 泣いて笑って

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泣き顔か笑顔か。フジサンケイレディスクラシックを劇的に制覇した藤田光里(ひかり)の優勝インタビュー=2015年4月26日、静岡県伊東市・川奈ホテルゴルフコース富士コース(松永渉平撮影)  遠目には泣き通しに見えた川奈の新女王、藤田光里(ひかり、20)だが、優勝インタビューの写真をアップで見直すと、泣いているのだか、笑っているのか分からない。

 緊張から解放され、涙も笑いも止められないほど、うれしいということなのだろう。今年のフジサンケイレディスクラシックは、例年にも増して劇的なラストシーンで幕を閉じた。

 1つ前の組で通算7アンダーで先行していた松森彩夏とイ・ボミがそろってボギーをたたき、この時点でなんと6人が通算6アンダーで並んでいた。

 最終18番はミドルホール。カップの位置は毎年おなじみ、右奥の狭いところに切られている。一ノ瀬優希と金ナリはともに安全策でグリーンセンターを狙った。2パットでパーを拾えば、プレーオフに持ち込める。

 最後に打った藤田の2打目は狭い右奥に外れ、エッジに止まった。勝負の一打。

 ただしコースアウト後に藤田が明かしたところでは、やはりグリーンセンターを狙い、6人でのプレーオフを戦うつもりが、右に出たのはミスショットだったというから、勝負のあやは分からない。

 2人のバーディーパットが外れると、藤田は迷わずパターを手にし、5メートルの下りのラインを躊躇(ちゅうちょ)なく打ち出した。

 ボールがカップに沈む。パターを落として万歳のポーズを取ると、藤田はキャディーを目指して駆けだし、その勢いのまま抱きついた。若さを爆発させたようなシーンだった。

 キャディーを務めることもあった妹の美里さんはプロモデルの美人姉妹。最終日の装いは紺のロングポロシャツに首元から腰までの白の2本ライン。黄色のスカートには、たわわに実るオレンジがデザインされ、日本一美しいといわれる川奈ホテルのコースに鮮やかに映えた。

 優勝を争った藤田と松森はともに20歳のプロ85期同期生。毎年、強い若手が出てきて、しかも伸びやかで魅力的だ。そんな選手らの涙や笑顔を晴天下で間近に見られるのだから、女子ゴルフの人気も当然だろう。

 ≪川奈の百花咲き乱れ≫

 「壁ドン」なんて造語が流行っているらしい。壁にどんと手をついて女子に迫る男子の様をいうのだという。

 どんな気の利いた言葉を口にしても、受け入れられるかどうかは女子の好みや男子の個性によるのだろう。

 「壁ドン」どころか、こんな満面の笑みで女子が両手を広げて走ってきたら、これを迎えてうれしくない男は、いない。

 フジサンケイレディスクラシックのこの劇的なラストシーンを、複雑な思いで受け止めたであろう人が、少なくとも5人はいる。通算7アンダーで優勝した藤田光里に、わずか1打及ばず、2位タイに終わった5人である。

 藤田とともに最終組で回った一ノ瀬優希と金ナリはともにバーディーパットを打ち終わっていた。藤田がエッジからパターで打った球がカップに消えなければ、短いパーパットを沈めてプレーオフに向かうはずだった。トップで最終日を迎えた一ノ瀬は後半に3つのボギーが重なり、リードを守れなかった。

 一つ前の組では藤田の同期、松森彩夏が7アンダーで18番を迎えてパーオン。ここからまさかの3パットで初優勝を逃し、藤田の逆転優勝はプレーオフに向けたパットの練習中に大歓声で知った。涙があふれ出た。

 松森と同組の人気者、イ・ボミも18番で短いパーパットを外し、出場4試合連続の2位に終わった。うれしくないツアー新記録に「運がついていなかったですね」。ただし安定した実力ゆえの珍記録ではある。

 先に通算6アンダーでホールアウトしていた表純子にとっては意外な幕切れだった。「優勝スコアは2桁アンダーだろう」と思っていたが、上位陣が次々スコアを落とし、あれあれと準備を始めたところで藤田の劇的優勝パット。終わってみれば1打差の2位は、途中で何度も逃した再三の好機が惜しまれた。

 首位と2打差の通算5アンダーには最終日イーグル発進で66をマークした成田美寿々や復活優勝を狙った原江里菜らが食い込み、大会を盛り上げた。さて来季はどんなドラマが。(EX編集部/撮影:松永渉平、戸加里真司/SANKEI EXPRESS

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