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「食」テーマ 万博が開幕 各国の「持ち味」 ミラノで融合
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イタリア・ミラノ万博の「アラブ首長国連邦館」を散策する女性=2015年5月4日、イタリア・ロンバルディア州ミラノ(AP) イタリア北部ミラノで1日、「食」をテーマとした国際博覧会(万博)が開幕した。約150の国や国際機関が参加。多彩な食文化の魅力を紹介するほか、飢餓や肥満、安定的な食料供給など世界が抱える課題へのメッセージを発信する。10月31日までの6カ月間開催され、2000万人以上の入場者を見込む。
ミラノ郊外にある約1.1平方キロの会場には、54カ国・機関が独自の展示館を設けた。
最大規模の展示館は「日本館」だ。「共存する多様性」をテーマに和食の魅力を発信する。日本館は5つの区画に分かれ、プロジェクターやハイテク技術を駆使した体験型の展示で伝統の食文化をアピール。さまざまな和食を楽しめるレストランは初日から大勢の来場者でにぎわった。
会場内を南北に結ぶ通り「カルド」では開催国イタリアがパスタやチーズなど多彩な特産品を展示するほか、伝統の食文化の保護を目指す同国発祥の「スローフード」運動も提唱。東西に延びる「デクマーノ」には、各国の特色を生かした展示館や複数国で共同運営する展示施設などが並ぶ。
イタリアのレンツィ首相は開幕式で「新しい世代がここで出会い、対話する」と述べ、万博が世界の食に関する問題の解決につながることに期待を示した。
会場の建設が大幅に遅れ開幕後も整備が続く展示館もあり、当面は混乱も予想される。会場周辺では、万博に反対する団体の抗議活動やテロに備え、厳重警備が敷かれた。
≪和食の産地から食卓まで「旅」を体感≫
イタリア・ミラノで開催中のミラノ国際博覧会(万博)で、日本は国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に登録された和食を売り込む絶好の機会ととらえる。発酵食品や一汁三菜などの食文化、農林水産業の技術を紹介し「おもてなし」の精神をアピールする。4日には林芳正農林水産相が「日本館」を視察、日本食や日本の食文化の魅力をPRした。
農水相は館内の展示を観賞、茶道の実演に立ち会ったほか、ミラノ万博担当のイタリア政府代表、ブルーノ・パスクイーノ氏と面会。フードコートですき焼きを試食した。
視察後、農水相は記者団に「想像以上に素晴らしい展示だった。ミラノ万博をステップに(世界への)日本食の発信を強化していきたい」と力を込めた。パスクイーノ氏も「日本館は最も訪問者数の多い展示館の一つになるだろう」と話した。
日本館では、展示に触れながら産地から食卓までの「食をめぐる旅」を体感できる。食卓をイメージした映像シアターでは「いただきます」「ごちそうさま」という自然の恵みに感謝する日本の心を伝える。
レストランには京懐石やカレー、すき焼きなど多彩なメニューが並ぶ。マルコメ(長野市)のみそなど、協賛企業が素材を提供。欧州連合(EU)では日本の一部農水産物の輸入が規制されているが「万博特例」で、かつお節やふぐなどの持ち込みが認められた。
イベント広場では期間中、27組35自治体が特産品を紹介。初日は茶道裏千家(京都市上京区)がお茶をたてて、来館者をもてなした。
日本館は敷地面積約4170平方メートルで、参加国の中で最大規模。外装には伝統工法「立体木格子」を取り入れ、くぎを使わずに木材を組み合わせたデザインも話題だ。
愛知県や中国・上海、韓国・麗水で開催された万博に毎日通い続け、「万博おばあさん」の愛称で知られる愛知県瀬戸市の主婦、山田外美代(とみよ)さん(66)が、ミラノ万博ではPRを担う「日本館サポーター」に就任した。来場者や参加国の関係者らとの触れ合いを通じ、「たくさんの知恵が詰まった日本の食文化を世界の人に知ってもらいたい」と意気込んでいる。
世界では多くの人が飢餓に苦しむ一方、肥満が深刻な問題となっており、山田さんは「食の不均衡に対し、日本は何を発信できるのか、ミラノ万博はどのような結論が出せるのかに関心がある」と話した。序盤と7月の「ジャパンデー」開催期間の2回に分け、計約1カ月間会場を回る予定だ。(EX編集部/撮影:AP、ロイター、共同/SANKEI EXPRESS)