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【取材最前線】ご当地ラーメン根付くか
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車を走らせると、たびたび視界に入ってくる「ラーメン」の文字。茨城県つくば市でラーメンを食べようと思えば、すぐに店を見つけられるほど数の多いことに気付いた。何でも、つくば市は約100店舗がしのぎを削る県内有数のラーメン激戦区なのだという。
「つくば」といえば、筑波山や研究施設、つくばエクスプレス、科学万博などを思い浮かべる。ただ、ラーメンのイメージは湧かない。客が列を作る「名店」はあるものの、「なみえ焼そば」や「龍ケ崎コロッケ」のようなその地域ならではのラーメンが見当たらない。何より、激戦区であることを市外の人は知らない。
そんな中、筑波山麓で栽培している特産の「福来(ふくれ)みかん」を使ったラーメンの開発が進んでいる。企画したのは、つくば観光コンベンション協会と市商工会青年部が中心になって2013年5月に立ち上げた「つくばご当地ラーメン開発プロジェクト」。福来みかんの普及も兼ねて、地元を盛り上げることが目的だという。
昨年6月には、プロジェクトに賛同するラーメン店が考案した、福来みかんの皮を練り込んだ「福来麺」を使ったラーメンの試食会が行われた。これが「ご当地」になるのかと思いきや、「これだけをご当地ラーメンとしないでほしい」とプロジェクト担当者がくぎを刺した。他にも賛同店舗があって、各店が開発したラーメン全てを「ご当地」とするらしい。
しかし、今年3月、1カ月の限定で実施しているラーメンの食べ歩きイベントのリーフレットを見たとき、思わず首をひねった。福来麺を提供している店の紹介に「元祖」の文字。いつの間にか福来麺がご当地ラーメンの「元祖」に位置付けられている。そういえば、年越しにラーメンを食べる文化を定着させようと筑波山神社でふるまわれたのも、この福来麺だった。
担当者は「地域に根付くまでには時間がかかる」とも話していた。むろん、すぐに地元に愛され、大ヒットとなるラーメンができれば、誰も頭を悩ませる必要はない。一部のラーメンを「元祖」として見切り発車するのではなく、アクションを起こすのは全店舗のラーメンが完成してからでも良かったのではないか。長い道のりであるならば。(水戸支局 海老原由紀/SANKEI EXPRESS)