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【女性2閣僚辞任】「理由分からない」 核心に言及せず

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【女性2閣僚辞任】「理由分からない」 核心に言及せず

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 ≪小渕氏 法的問題認める≫

 小渕優子前経済産業相(40)は辞任会見で、関連政治団体での不透明な資金処理の経緯を説明したが、問題の核心についての言及はなく、疑惑の解明には到底至らなかった。

 小渕氏は会見で、関連政治団体が支援者向けに開いた「観劇会」の収支に多額のずれが生じていた問題について、参加者の申込書や管理口座を示し「(参加費を)いただいている」と説明。公職選挙法が禁じる有権者への利益供与には当たらないとの見解を示した。

 一方で、「収入が過少に記載されていると思う。私自身大きな疑念を持った」と述べ、政治資金規正法上の問題を事実上認めた。ただ、理由は「分からない」と繰り返すのみだった。

 日本大学法学部の岩井奉信(ともあき)教授(政治学)は2012年にも開かれた観劇会の記載がないことに触れ、「単なる記載ミスではなく、意図を感じる」と指摘。「12年は衆院選の年。集めた金の使途によっては公選法違反にも当たる」と話す。

 また、公私混同が指摘された資金管理団体の物品購入について、小渕氏は「公私は区別されている」と強調。地元名産のネギやこんにゃくの購入は「県外の方への贈答」で、ベビー用品なども「県外の方の出産祝いといった社交儀礼」などとし、「人脈を広げることは政治活動の経費と認められると思う」と釈明した。

 これについて岩井教授は「社会通念や政治家の倫理上、個人で支払うべきだとされても仕方ない」と指摘している。

 群馬県の市民団体は20日、政治資金規正法違反などの罪で小渕氏に対する告発状を東京地検に提出した。

 また、東京地検は、松島みどり氏(58)が選挙区で「うちわ」を配布した問題で、民主党議員が提出した松島氏に対する公選法違反罪での告発状を受理。疑惑解明は司直の手に委ねられる。

 ≪「落ちたプリンセス」 総裁レースに異変も≫

 小渕前経済産業相が政治資金収支報告書をめぐる問題で辞任したことで、将来の自民党総裁レースに異変が起きそうだ。小渕氏がいずれ額賀(ぬかが)派(平成研究会)を継ぎ、小渕派へと衣替えするのは、永田町では衆目の一致するところ。派内で「小渕首相」の誕生を待ちわびている議員は少なくない。だが、今回の辞任劇で勢いがそがれたのは確か。「落ちたプリンセス」に対し、党内では同情と失望が交錯している。

 「すべてが甘かった」

 「経済再生、女性の輝く社会の実現などさまざまな課題に、何一つ貢献できなかったことを心からおわび申し上げます…」

 20日午前の首相官邸。小渕氏は安倍晋三首相(60)に陳謝した。その後の経産省での記者会見では、涙が出るのをこらえながら「すべてが甘かった。ゼロから出直したい」と語り、無念の表情を浮かべた。

 小渕氏は急死した小渕恵三元首相(1937~2000年)の後継として26歳で衆院初当選。麻生太郎内閣では少子化担当相に起用され、戦後最年少の34歳で初入閣を果たした。今年9月の内閣改造で再入閣し、順調に権力の階段を駆け上がっていた。

 日ごろから全国を飛び回り、同僚議員の応援演説をこなす小渕氏の人気は党内でも高い。いつしか将来の総裁候補と目されるようになり、ある額賀派幹部は「あと十年も雑巾がけをすれば、派閥を率いて女性初の首相になる」。議員を引退してもなお額賀派に絶大な影響力をもつ青木幹雄元参院議員会長(80)は周囲に「小渕氏は大事にしないといけない」と漏らしていた。

 そんな小渕氏だけに、額賀福志郎元財務相(70)は16日の額賀派総会で「何があっても支える」と強調。派内には「収支報告書の記載を正せば済む話だ」との楽観論が飛び交った。だが、ずさんな会計処理が次々と明らかになり、窮地に陥っていく。

 失望と同情

 「将来の首相候補として期待していたのに、ガッカリさせないでほしい」「まだまだ説明不足だ」…。

 党内には失望感が広がった。

 父親の小渕元首相は、中選挙区時代の旧群馬3区で福田赳夫(1905~95年)、中曽根康弘(96)両元首相に挟まれる形で「ビルの谷間のラーメン屋」と自らを評し、その庶民的なイメージから世論の好感を得ていた。それだけに、今回、2010、11年分の収支報告書で支持者向けの観劇会の収支が2642万円も食い違っていた事実は、父親のイメージとのギャップも印象づけた。

 小渕氏は会見で「私自身が分からないことが多すぎる。なんでこうなっているのかという疑念をもっている」と語ったが、党内には「小渕氏は若いし、将来に備えるには早めに身を引いてよかった」(幹部)とかばう声は少なくない。

 だが、閣僚を辞任したとはいえ、政治家としての説明責任はいまだ果たせていないのが現実だ。

 第三者を入れて調査を続ける意向を表明した小渕氏だが、いばらの道が続きそうだ。(村上智博/SANKEI EXPRESS

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