SankeiBiz for mobile

女性監督4% ハリウッドに「汚名」 米人権団体、差別の改善要求

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSのエンタメ

女性監督4% ハリウッドに「汚名」 米人権団体、差別の改善要求

更新

第82回アカデミー賞の授賞式で女性初となる監督賞のオスカー像を手にするキャスリン・ビグロー監督=2010年3月7日、米カリフォルニア州ロサンゼルス(AP)  米国で最も影響力のある人権団体の一つである「米自由人権協会(ACLU)」は12日、ハリウッドの映画会社やテレビドラマ製作会社で、女性が不当な差別を受けているとして、連邦政府とカリフォルニア州の人権救済機関に調査を要求する書簡を送った。差別が認定されれば法的措置が発動される。ACLUは2002年からの12年間に公開された興行収入上位1300本の映画のうち女性監督の作品は4%しかないと指摘。聞き取り調査による具体的な差別の事例も示した。米アカデミー賞監督賞を女性で唯一受賞したキャスリン・ビグロー監督(63)も「ハリウッドに汚名を着せるものだ」と語り、女性の活躍を阻んできた“ガラスの天井”の存在を批判した。

 「不平等、恥ずべきこと」

 「このような露骨かつ極端な性的不平等が存在することは恥ずべきことで受け入れ難い」

 ACLUで性差別や性的マイノリティー(少数派)の問題に取り組む責任者のメリッサ・グッドマン氏は声明で、ハリウッドの現状についてこう訴えた。

 AP通信や米紙ニューヨーク・タイムズなどによると、書簡は、米ユタ州で毎年1月に開かれる映画祭を運営する非営利団体「サンダンス・インスティテュート」や世界最高峰の映画学科を持つ南カリフォルニア大学(USC)による最新調査に基づき作成。50人の女性監督からの聞き取り調査も行い、差別の実態を明らかにした。

 それによると、2002~13年公開の興収上位1300本のうち女性監督の作品は4.1%で、直近の13~14年は上位100本のうちわずか1.9%しかなかった。テレビドラマの製作現場も同じ状況だ。13~14年に製作された220本(計3500話分)のうち女性監督が手掛けた割合は14%にとどまった。

 60年代にも同様の訴え

 さらに聞き取り調査では、数十年のキャリアを持つ女性監督が「『この作品は女性監督向きじゃない』『あの俳優は女性には扱いにくいぞ』と、製作側の幹部から言われた」と証言。製作会社の幹部がエージェントに対して「女性監督は要らない」と拒否するといった露骨な女性排除の実態を明らかにした。

 ACLUは、昔から映画学校の生徒のほぼ半数が女性であるにもかかわらず、監督として活躍できるのはごくわずかしかいないと異常性を訴えた。ハリウッドは伝統的な男社会で、1960~70年代にも同じような訴えがあり、米雇用機会均等委員会が調査に入ったことがある。ACLUは「あれから数十年がたったが、状況は当時と何も変わっていない」と指摘した。

 グッドマン氏も「ハリウッドでは性差別のため、女性が自由に仕事をすることができず、こうした状況は違法だ」とし、政府や州当局が法的措置により改善を図るよう求めた。

 「おぞましい状況続く」

 書簡送付を受け、人気テレビドラマ「ギルモア・ガールズ」などを手掛けたジェイミー・バビット監督(44)はニューヨーク・タイムズ紙に「働く女性は日々、小さな性差別に立ち向かっている」と語り、ACLUを支持した。

 アカデミー賞の監督賞にノミネートされた女性はこれまで4人しかおらず、2010年に米軍爆弾処理班の極限状況を描いた「ハート・ロッカー」で初めてオスカーを手にしたビグロー監督も、米誌タイムに怒りのコメントを寄せた。

 「ハリウッドは先進的で進歩的な人々の集まりと思われているが、女性に対するこうしたおぞましい状況は今後も続くだろう」(SANKEI EXPRESS

ランキング