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経済
日立・三菱は最高益 パナ・ソニー復調 電機7社 3月期決算
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15年3月期決算を発表する日立製作所の中西宏明会長兼最高経営責任者(CEO)=2015年5月14日、東京都千代田区(共同) 東芝を除く電機大手7社の2015年3月期連結決算が14日出そろい、シャープ以外の6社が本業のもうけを示す営業利益で増益を確保した。日立製作所と三菱電機は過去最高益で、業績不振が続いていたパナソニックやソニーも復調した。
東芝は会計処理問題の影響で決算発表を延期した。
16年3月期は5社が営業増益を予想し、シャープも黒字転換を見込む。円安や構造改革の進展により、一部を除く電機大手で業績の回復基調が強まってきた。
日立は、昇降機や高機能材料、情報・通信システムなどが好調だった。グローバル事業拡大に向け、顧客と一緒に課題を共有して解決するビジネスへの転換を目指してきた中西宏明会長兼最高経営責任者(CEO)は、14日に都内で開いた決算発表会見で「ようやく手応えが出てきた」と強調した。
同じく最高益を達成した三菱電機は、工場の自動化に使うファクトリーオートメーション(FA)設備が堅調に推移。これを含む「産業メカトロニクス」分野の営業利益は前の期と比べて約5割増の1459億円に膨らんだ。
富士通は企業や官公庁向けシステムが好調だった。最終利益は23.7%増の1400億円。自治体向け消防無線通信システムが好調だったNECは69.8%増の573億円となった。
車載用電池など自動車関連が堅調なパナソニックは最終利益が49.0%増の1794億円だった。
16年3月期についてパナソニックの津賀一宏社長は「売り上げを伸ばし、成長優先に舵を切りたい」と強調。売上高予想は3.7%増の8兆円だ。一方で、スマートフォン事業で構造改革を積み残したソニーは、3.8%減の7兆9000億円と減収を見込む。改革の進捗(しんちょく)度の違いで、両社の売上高予想に明暗が分かれた。
営業利益でみると、日立は3期連続で過去最高を更新すると予想。16年3月期から国際会計基準(IFRS)に移行するため単純比較はできないが、通期見通しの6800億円は、これまでの米国会計基準で換算すると6600億円になるという。ソニーは前の期の約4.7倍に相当する3200億円を予想し、シャープも黒字転換を見込む。
ただ、為替相場の状況や世界景気の変調などがリスクだ。ソニーはドルに対して円安が1円進行すると、70億円の減益要因となる。三菱電機は「中国の経済成長率の低下が懸念される」(松山彰宏常務執行役)と警戒を強める。
一方、東芝の不適切会計問題に対して投資家の懸念がくすぶっている。東芝はインフラ関連工事で損失が適切に計上されていない事例などが判明し、週末の8日午後に15年3月期の連結業績予想を取り下げた。週明け11日の株価は急落し、その後も低迷が続いた。
東芝は13日深夜に急遽(きゅうきょ)、現時点での業績の下方修正額を発表した。
それによると、営業利益が14年3月期までの3年間で計500億円余り減少する見込みだと説明している。
発表を受けた14日の株価はやや持ち直したが、15日に発足する予定の第三者委員会の調査結果によっては影響が拡大する可能性もある。
調査の範囲が連結対象子会社などに広がる可能性がある。投資顧問幹部は「問題が悪質なのか、影響額がどの程度膨らむのかなど引き続き注視する必要がある」と指摘している。
6月以降に発表する2015年3月期連結決算の行方は、依然として不透明だ。(SANKEI EXPRESS)