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密入国少年に温情 母の元へ スーツケースの8歳 一時滞在許可

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密入国少年に温情 母の元へ スーツケースの8歳 一時滞在許可

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少年が体を丸くして隠れていたスーツケースのスキャナー画像=2015年5月8日、スペイン領セウタ(AP)  アフリカ北部モロッコに隣接するスペインの飛地領セウタで今月、モロッコから持ち込まれたスーツケースの中に隠れて密入国しようとしたコートジボワール人の少年(8)が見つかった事件で、スペイン入国管理当局は21日、この少年に1年間の一時滞在許可を認めたことを明らかにした。

 人権侵害で父親逮捕

 少年は近く、母親が住むスペイン領カナリア諸島に送られる見通しだ。スペイン当局が粋な計らいをした背景には、わずか8歳で“決死の密入国”を図らざるを得なかった少年に対する国内の強い同情論があったようだ。

 5月8日付英紙ガーディアンやインディペンデント(いずれも電子版)などによると、少年は7日、セウタの国境検問所で、歩いて入国しようとしたモロッコ人の女(19)が持ち込んだスーツケースの中に隠れていた。

 女の不自然な様子に気付いた検問所の職員が、スーツケースを手荷物検査のスキャナー画像で確認したところ、体を窮屈に丸めて、毛布に隠れていた少年を発見した。

 驚いた職員がスーツケースを開けると、少年はフランス語で「こんにちは。僕の名前はアブーです」と答えたという。

 しかし、スーツケースには空気穴もなく、検問所の広報担当者はガーディアン紙に対して「窒息死していた可能性もあった」と、文字通り決死の密入国であったことを明かした。

 少年はすぐさまスペインの児童保護施設に送られ、女は少年を密入国させようとした罪で逮捕された。女は少年とは面識がなかった。

 検問所で少年が発見されてから約2時間後、当局はコートジボワール出身でスペイン領カナリア諸島に住む少年の父親(42)を息子に対する人権侵害の容疑で逮捕した。

 父親は検問所の職員にスーツケースの中の少年の写真を見せられ、「息子です」と認めたという。

 父親の弁護士が欧米メディアに語ったところによると、父親もコートジボワール出身で、7年前からカナリア諸島で合法的に暮らし、コインランドリーで働いていた。

 父親はしばらくして妻(少年の母親)を呼び寄せ、最近、11歳の長女も呼び寄せたが、その後、賃金ダウンに見舞われて息子の滞在ビザを取れる収入要件を満たせなくなってしまった。

 それでも何とか息子を呼び寄せたかった父親は、5000ユーロ(約67万4000円)を支払い、蜜入国を女に依頼したという。

 近年、多くのアフリカ人が欧州での豊かな生活を夢見て、セウタや地中海沿岸にある同じスペインの飛地領メリリャを経てスペインに密入国を試みている。

 昨年は約5000人が密入国に成功したとみられ、スペイン国内で社会問題化しており、当局も神経をとがらせている。

 ただし、今回のケースに関しては、家族がスペイン領内で合法的に暮らすなか、少年がただ1人置き去りになってしまったという事情もあって同情論も強い。18日付現地ニュースサイト、スパニッシュニューストゥディによると、父親の釈放を求める請願書に4万5000が署名した。

 5月21日付フランス通信(AFP)によると、こうした声を踏まえ、スペインの入国管理当局は「特別な事情」を理由に、少年に1年間のスペイン滞在を許可。少年は、DNA鑑定で母親との親子関係が証明できれば、直ちに愛する母親の下へ送られるという。(SANKEI EXPRESS

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