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訪中団を称賛 世論分断の思惑 習主席、安倍政権批判と使い分け

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訪中団を称賛 世論分断の思惑 習主席、安倍政権批判と使い分け

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首都北京市の人民大会堂で開かれた日中観光交流イベント=2015年5月23日、中国(代表撮影・共同)  中国の習近平国家主席(61)は23日夜、自民党の二階(にかい)俊博総務会長(76)が率いる約3000人の訪中団(財界や日中友好団体の関係者らで構成)と面会した際、安倍晋三政権の歴史認識を暗に批判する一方、訪中団のメンバーを「正義と良識のある日本人」などと褒めたたえた。日本政府と一般の国民を切り離す「二分論」を展開し、日本の世論に揺さぶりをかけようとする思惑があるとみられる。

 日中関係をめぐっては、3月末から5月はじめにかけて自民党の谷垣禎一(さだかず)幹事長(70)や高村(こうむら)正彦副総裁(73)、額賀(ぬかが)福志郎元財務相(71)ら日本の要人が相次いで訪中し、それぞれ習主席との面会を求めたが実現しなかった。

 「二階氏の力ではない」

 2012年11月に中国の最高指導者となった習主席は対日強硬姿勢を崩さず、日本政府要人と会うことを極力避けており、今回の二階氏訪中に関しても、「習主席には会えないのでは」との見方が出ていた。

 ところが、習主席は人民大会堂で開かれた日中の交流式典に突然登場し、関係者を驚かせた。ある共産党関係者は「別に二階氏の力で面会できたのではなく、習主席は日本の民間人に対し『日中関係悪化の原因はすべて安倍政権にある』と直接強調するのが目的だ」とした上で、「日本の世論を分断し、8月に発表される戦後70年の首相談話や憲法改正の動きを牽制(けんせい)したい思惑もある」と指摘する。

 毛時代からの常套手段

 日本政府と国民を区別する二分論は毛沢東時代からの対日工作の常套(じょうとう)手段だ。「諸悪の根源は軍国主義の復活を図る右翼政治家にあり、日本国民は政府に洗脳された被害者だ」という論法で、日本のリベラル勢力などを味方につけることを目的にしているという。

 習主席はこの日の講演で、唐代の詩人、李白(701~762年)と日本人留学生の阿倍仲麻呂(698~770年)との友情などを例に挙げ、日中交流には長い歴史があり、今後も民間交流を展開する必要性を強調した。その上で、日中戦争が中国国民に大きい災難をもたらしただけではなく、「日本国民もあの戦争の被害者だ」と主張し、訪中団に「歴史を歪曲(わいきょく)する動きに一緒に反対しよう」と呼びかけた。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS

 ≪二階氏「首相も成果喜んでいる」≫

 自民党の二階(にかい)俊博総務会長は24日、北京市内で記者会見し、安倍晋三首相の親書を中国の習近平国家主席に手渡した今回の訪中について「(電話で報告した)首相も喜んでおり、一応の成果を挙げた」と強調した。

 二階氏は、23日に北京の人民大会堂で開かれた中国政財界との交流会の最中、首相と複数回電話でやりとりしたことを紹介。「首相からは、ねぎらいの言葉があった。帰国後に(詳しく)報告したい」と語った。

 また、二階氏は「(日中間で)これからよく知恵を出し合おうという中、日本も真摯(しんし)に応えていくことが大事だ」とも指摘。政府側に日中関係改善に向け、さらなる努力を促した。同席した日本経団連の御手洗冨士夫(みたらい・ふじお)名誉会長(79)は「有意義で充実したミッションだった」と総括した。

 習氏は交流会で「日本軍国主義を美化・歪曲(わいきょく)しようとする言動も許されない」などと述べ、安倍首相が今夏に出す戦後70年談話を牽制(けんせい)。これについて二階氏は「日中は環境が違う」としたうえで、「世界が注目している。日中問題がいかに重要か十分に分かったうえで、首相は考えている」と語った。(北京 沢田大典/SANKEI EXPRESS

 ≪現地紙、好意的に報道≫

 5月24日付の中国各紙は、習近平国家主席が23日に日中観光交流イベントであいさつし、日中友好協力の推進に意欲を示したことを大きく伝えた。自民党の二階(にかい)俊博総務会長が率いる約3000人の訪中団を好意的に取り上げている。

 共産党系の人民日報や中国青年報、軍機関紙の解放軍報などは「中日友好交流大会」の文字を背景に話す習氏の姿や北京市内を観光する訪中団の写真を1面に掲載。関係が悪化した2012年秋以降、中国の主要メディアが両国関係を前向きに捉えて大々的に報じるのは珍しい。

 人民日報は「中日間の平和で友好的な関係を維持することは、両国人民の利益に合致し、アジアと世界の平和と安定の維持にもつながる」と指摘した。北京青年報は、3000人の訪中が「両国の民間交流の重要な活動だ」とする中国の観光当局者の声を紹介。“親中派”の二階氏がこれまでも日本の各界の関係者を率いて訪中してきたと伝えた。(北京 共同/SANKEI EXPRESS

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