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Japan Street Lens 清潔な電車から見える「美しい心」

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Japan Street Lens 清潔な電車から見える「美しい心」

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東急田園都市線の「つくし野」駅近くの車庫では早朝、車両を清掃する作業員が、窓を手できれいに拭き、車体をモップで一生懸命に磨く姿があった=2014年12月27日、東京都町田市(デイモン・コーターさん撮影)  日本在住の外国人フォトグラファー4人が、外国人ならでは視点と感性で見つけた日本の隠れた魅力を紹介する「Japan Street Lens(ジャパン・ストリート・レンズ)」の第2回は、イギリス人フォトグラファー、デイモン・コーターさん(44)。その清潔さと正確さに感動したという「日本の鉄道」のシーンをお届けする。

 安全性、正確さ、清潔さなど全ての面で「東京の電車は素晴らしい!」と声を大にして称賛したい。東京の電車を観察していると、日本人の「美しい心」を発見できてうれしい気持ちになる。いかにして東京の、そして日本の電車は安全で、正確で、清潔なのか-。レンズの奥にその答えが見つかる。

 感動した光景がある。昨年12月、氷点下のなか、早朝8時から車両を掃除する作業員の姿を見かけた。場所は、自宅から徒歩数分の東急田園都市線「長津田駅」付近の車庫だ。60代前後の女性が中心になって車両を清掃していた。誰も見ていないのに、窓枠の隅から隅までぬれたぞうきんで丁寧に精魂込めて拭いていた。彼女たちは「プライド」を持って仕事をしていることが伝わってきた。英国では、電車を人手で清掃する光景は見かけたことがない。機械洗浄がほとんど、人手をかけるにしてもホースで水をかける程度だ。電車が清潔で当たり前と思っている乗客は、この女性たちの仕事を意識することはないだろうし、感謝されることの少ない地味な仕事だが、彼女たちは一切手抜きをすることがない。

 ≪花が彩る都電 愛さずにはいられない≫

 昭和のレトロ感を残して路面を走る都電荒川線は愛さずにはいられない電車の一つだ。線路沿いには花が植えられ、乗客の目を楽しませてくれる。花を植えた沿線の人たちの思いに胸が熱くなる。個人主義のイギリス人は、乗客に楽しんでもらうために、沿線に花を植える人なんてまずいない。

 電車はもともとイギリスで発明されたものだが、電車事情を東京と比べると、とても胸を張れない。日本では、ホームで電車のドアが停車する位置が指定してあるのに驚いた。時刻だけでなくて、場所まで正確に停車するなんて! イギリスでは、ドアがどこに停車するか誰も予測できないから、電車が到着するやいなや、大勢の乗客がドアを目がけて一気に押し寄せる。

 日本の電車を取り巻く日常の景色や人々の仕事を撮ることで、日本社会の強さや日本人の精神性に迫ることができる。フォトグラファーとしての醍醐味(だいごみ)を感じ、創作意欲が湧いてくる。(写真・文:フォトグラファー デイモン・コーター/企画:海外メディアコーディネーター 瀬川牧子/SANKEI EXPRESS

 ■Damon Coulter 英国出身のフォトグラファー。ロッククライミングの愛好家で、約10年間、東南アジアやアフリカ大陸などをロッククライミングを楽しみながら回り、トラベルライターとして写真や記事を英国などの旅行雑誌に寄稿してきた。2002年から日本に在住し日本人女性と結婚。現在9歳と11歳の男児の子育てに大忙し。東日本大震災を契機に、報道カメラマンとして震災関連や日本のニュースの写真を、ロサンゼルス・タイムズやウォールストリート・ジャーナル、インディペンデント、デーリー・ミラーなどに配信している。

 ■Japan Street Lens(ジャパン・ストリート・レンズ) 英国、フランス、フィリピン出身の日本在住フォトグラファー4人が2015年1月に立ち上げた共同プロジェクト。それぞれが外国人としての視点や感性を大切にしながら、日本の隠れた魅力を撮り続けている。海外メディアで流れる日本で起きたニュースにとどまらず、伝統文化や東日本大震災、2020年東京五輪、右翼、若者などさまざまな切り口で日本を発信している。ブログ(japanstreetlens.tumblr.com)で作品を発表、ほぼ毎日更新している。

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