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【中国旅客船転覆】「生存者いない」 必死の捜索アピール 長江客船転覆 現場を公開

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【中国旅客船転覆】「生存者いない」 必死の捜索アピール 長江客船転覆 現場を公開

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長江の客船転覆現場では、船底を切断する懸命の作業が行われた=2015年6月4日、中国・湖北省荊州市監利県(ロイター)  中国湖北省荊州市監利県の長江で乗員乗客456人を乗せた大型客船「東方之星」が転覆した事故で、中国メディアによると、計77人の死亡が確認された。なお360人余りが行方不明となっている。捜索当局はこの日午後、内外メディアに現場近くでの取材を許した。メディアへの公開は必死の救助を国内外に誇示すると同時に、情報統制への批判をかわす狙いもあるとみられる。

 不満募る家族ら

 捜索当局は3日から4日にかけ徹夜で救出作業を続けた。船体の底部に約60センチ四方の穴を開け、ダイバーが船内に進入して不明者を捜したが、新たな救助者は出ていない。災害現場で生存率が著しく低下する基準とさる発生から72時間が4日午後9時半で経過した。

 国営中央テレビは徹夜の捜索活動の模様を中継するなど、当局の奮闘ぶりをアピールした。しかし、救出作業で目立った進展がない中、武装警察は乗客の家族らが現場に近づくのを阻止している。当局者からの情報提供もほとんどなく、不明者の家族らの不満は一段と高まっている。一方、生命保険会社が家族に一時金として総額1000万元(約2億円)を急遽(きゅうきょ)支払ったという。不満を和らげるため、当局が指示したとみられる。

 船外に流されたか

 内外メディアに許された取材では、当局が用意した海事局の船に救援拠点の川岸から乗り込み、現場に近付いた。船底の上では、十数人の救助部隊がバーナーで火花を上げながら厚い鉄板を切断していた。

 3日夜から始まった船底の切断作業では、4日午後までに少なくとも3カ所にダイバーが船室に潜り込むための穴を開けた。4日朝までに船室から一度に40人近い遺体を発見。さらに4日夕までに10人近くの遺体を引き揚げた。遺体は川岸のテントで身元などを確認し、監利の葬儀場に運ばれるという。

 「自分たちが潜った範囲では生存者は見つけることができず、船室の壁をたたいてもどこからも反応がなかった」。4日午前に船室に約2時間潜って救援作業を行ったというダイバーの廬平氏(47)と劉利華氏(35)の2人が、疲れ切った表情で取材に応じた。劉氏は「遺体もほとんど見なかった」とうつむきながら話し、行方不明の多くが船外に流された可能性があることを示唆した。

 船室などの捜索は、ダイバー約200人が交代で24時間態勢で続けているという。

 クレーン船横付け

 船体の横には救援用の船のほかに大型クレーン船が横付けされ、客船を引き上げる準備を始めていた。関係者は、転覆した船体をクレーンで川岸まで引き寄せるか、その場で逆さまに回転させて、元の状態に戻す可能性があると話した。

 取材は許されたが、中国当局は陸路での現場周辺への立ち入りを4日も厳しく制限。船上からの撮影も、乗客の家族を刺激する遺体収容などの様子が映らない位置に限られた。(監利 河崎真澄/S ANKEI EXPRESS

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