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MERS感染100人超 朴大統領は訪米延期 韓国見えぬ終息 首脳外交にも影響
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6月10日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの感染拡大が続くソウル市内の病院の隔離病室で、防護服を着用し業務に当たる医療関係者=2015年、韓国・首都ソウル(聯合=共同) 韓国保健福祉省は10日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスに感染した2人が死亡し、新たに13人の感染が確認されたと明らかにした。韓国大統領府はこの日、感染拡大への対応のため、朴槿恵大統領(63)が14日から予定していた訪米を延期すると発表した。
韓国での感染者は108人、うち死者は9人となった。拡大に歯止めがかからず、日本も水際対策の一段の強化を迫られそうだ。
新たな死者は男性(62)と女性(75)で、肝がんなどを患っていた。この2人と新たな感染者のうち10人は、中東から帰国した韓国初の患者(68)から感染した男性(35)が転院していたソウル市のサムスンソウル病院で感染した。
この男性は5月27日に肺炎のような症状でこの病院に入院。病院は、男性が院内感染者がすでに出ていた平沢聖母病院で治療を受けたことを認識しながら感染を疑わず、隔離措置を取らずに2日間一般の処置室に入院させていた。この間に処置室を訪れた医師らが次々と感染した。
サムスン病院での院内感染者数は47人で、今後この病院での感染者の追跡と隔離が大流行阻止の成否の鍵を握る。新たに分かった感染者のうち2人はこの病院で受診後にソウルの複数の病院を訪れており、接触した人の確認作業が続いている。
感染者は首都圏から地方にも拡大。欧州疾病予防管理センターによると、韓国は国別の感染者数で約1000人のサウジアラビアに次ぎ2番目に多い。死者数ではサウジの450人、アラブ首長国連邦(UAE)の10人に次ぐ3番目となっている。
医療施設や自宅での隔離対象は2500人を超え、学校と幼稚園の休校、休園は計約2700カ所に上っている。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪韓国見えぬ終息 首脳外交にも影響≫
韓国でのMERSコロナウイルス感染者は100人を超え、朴大統領は訪米を延期した。週内にも終息への兆しを見いだしたかった政府だが、MERSはソウルの大病院を中心とした感染拡大が続き、首脳外交にも影響を及ぼす形となった。
中東帰りの男性(68)が韓国で初めて感染確認された5月20日以降、政府は「感染力は強くない」と楽観視し、対応は後手に。6月10日現在で感染者は死者9人を含む108人に上った。
4日にはソウル市長が政府対応に不満を示し独自対応を取ると宣言。朴氏は自治体の独自の動きに不快感を示し、政府と自治体の間に亀裂も生じた。ある自治体首長が、フェイスブック上で感染が疑われる人の個人情報を公開し、物議を醸す出来事もあった。
政府は7日になり感染者が出た病院名を公表したが、すでに多くの人が感染のリスクを知らないまま病院から移動しており、追跡は困難になっている。
北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発を誇示するなど緊張が高まる中、朴氏は16日に予定していたバラク・オバマ大統領(53)との首脳会談で、米韓同盟の強固さをアピールする狙いがあった。
MERS感染が広がる中でも「外交優先」との声は政権内で強かった。しかし、昨年4月の旅客船セウォル号沈没事故で対応に失敗した朴政権にとり「国民の安全」は繰り返し強調してきた最重要課題。感染が広がるにつれ、外遊のハードルは徐々に高まっていた。
朴氏は最近、外遊中に国内で事件や内政の混乱が起きる事態が続いている。3月の中東歴訪中には駐韓米国大使の襲撃事件が発生。4月の南米歴訪中は李完九首相(当時)が裏金疑惑で辞意を表明した。南米滞在中にインドネシアで日中首脳会談が行われたことも「外交判断のミス」と指摘された。
MERSでの対応の遅れが響き、韓国世論調査会社による2~4日の調査で朴氏の支持率は前週から6ポイント急落し34%に。訪米の是非を問う別の調査(10日発表)でも、「延期すべきだ」が過半数を占めた。
大統領府は訪米延期の発表で「今週がMERS拡大の分水嶺。大統領は国内にとどまり国民の不安を解消する」と強調した。崔●(=日の下に火)煥副首相も9日「今週中に終息させる覚悟で、総力態勢を取る」と述べている。
日本のある感染症の専門家も「4次感染や病院外への広がりがなければ、今週が感染拡大のピークだと考えられる」と分析する。
ただ感染者が増え続け、警戒感が広まるばかりのソウルの街中では「いつになったら終わるのか」と疲労感を口にする人が多い。(共同/SANKEI EXPRESS)