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国際
【強毒性ウイルス感染】韓国、MERSで死者2人 3次感染も確認
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中東呼吸器症候群(MERS)を警戒してマスクをする医療関係者=2015年6月2日、韓国・首都ソウル(AP) 韓国保健福祉省は2日、中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスに感染した男女2人が1日に死亡したと明らかにした。
韓国でMERSによる死者が出たのは初めて。最初の患者から感染した人物を介してさらに感染が広がる「3次感染」が起きたことも確認された。
政府は2日時点で、感染者と接触し自宅や医療機関で隔離措置を取った人が約750人になったと明らかにした。対象者は前日より約70人増えた。
3次感染者2人を含め新たに6人の感染が判明、死亡した2人を含め韓国人の感染者は計25人になった。ほかに少なくとも3人が3次感染した可能性がある。感染者は中東以外では最も多い。
韓国では、最初の患者からの感染が疑われた男性が医師の反対を無視して出国後に中国で感染が確認されたことから、保健当局のずさんな対策に批判が出ていた。
日本の厚生労働省は2日、院内感染防止対策の徹底を呼び掛ける文書を各都道府県に通知したことを明らかにした。
1日に死亡した女性(57)と男性(71)は、いずれも中東訪問から帰国し5月20日に最初に感染が分かった男性(68)と同じ病院に入院。同月15~17日に同じ病棟で過ごし接触したとみられる。(共同/SANKEI EXPRESS)
≪初動対応ずさん 警戒強める日本≫
韓国でMERSコロナウイルスによる死者や3次感染が初めて確認された。
これまでアジアでの感染例は少なく、周辺国には警戒感が広がる。インフルエンザのように感染力は強くないとみられているが、韓国は日本にとっても往来の多い隣国。韓国の初動対応のまずさには不満も漏れ始めた。
韓国で最初に感染が確認された中東帰りの男性(68)が入院した病院で、患者や医師らに急拡大、感染者は約10日で25人に上った。
男性の感染確認を受け韓国当局は男性と同じ病室の患者や家族ら計約60人を隔離、「強力で広範囲な措置だ」と胸を張った。だが約1週間後に別の病室でも感染が確認され急きょ隔離対象を拡大したが、その間にも感染の恐れのある多くの人々が外出してしまったとみられる。
日韓間は例年約500万人が往来している。韓国で感染が急拡大したが、ウイルスの感染力に大きな変化があったわけではないようだ。厚生労働省の宮川昭二感染症情報管理室長は「人から人への感染は限定的で、韓国でも感染は院内が中心だ」と強調。
院内感染を広げた韓国の対応には不満も聞こえる。日本の国立感染症研究所と韓国の担当機関の間には情報共有の取り決めがあるが、「どんな病院なのかも分からない」(厚労省担当者)のが現状だ。ある専門家は「これから先に院内感染が起きたら非難に値する。(2003年に大流行した)新型肺炎(SARS)での教訓を生かした中国の方がしっかりしている」と指摘した。
国内では中東地域からの入国者に、発熱やせきの症状があったり、現地で患者の体液などに触れた恐れがあったりする場合、医療機関が保健所に連絡することになっている。これに韓国を含めるかどうかは、厚労省が今後の感染の広がりをみてから決める方針だ。
中国広東省で韓国人の感染者が確認されたのを受け、中国当局は空港などでの検疫態勢を強化。SARS禍の“再現”を水際で防ぎ止めたい考えだ。韓国人感染者の経由地となった香港の衛生当局も、ソウル便の乗客に発熱などの症状があった場合、強制的に医療機関で検査する措置を開始した。
関西空港検疫所では、中東への渡航者には、感染源とされるラクダや、せきやくしゃみをしている人との接触をなるべく避けるようリーフレットで呼び掛けている。
関空は既にMERS用の検査試薬も準備済みで、担当者は「可能な限り水際で感染者を発見するのがわれわれの役割。そのための検査態勢は整っている」と強調した。(共同/SANKEI EXPRESS)