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【Q&A】世界遺産で韓国反発 登録覆ったのは近年1件のみ

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【Q&A】世界遺産で韓国反発 登録覆ったのは近年1件のみ

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「明治日本の産業革命遺産」を構成する三池炭鉱の万田坑を見学する人たち=2015年6月5日、熊本県荒尾市(共同)  国連教育科学文化機関(ユネスコ)による「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録に、韓国や中国が反発している。

 Q どんな遺産なの?

 A 幕末から明治期の製鉄所や造船所など、重工業発展の歴史を示す23施設で構成されている。文化財の専門家でつくる諮問機関は「西洋の技術を積極的に改良して日本の伝統に適合させ、50年余りの短期間で産業化を達成した」と評価した。

 Q 韓国や中国はなぜ反発しているの?

 A 韓国は23施設のうち、戦時中に朝鮮半島出身者が強制徴用された7施設(福岡、長崎、熊本の3県)は世界遺産にふさわしくないと訴えているんだ。計約5万7900人の朝鮮人が送られ、計94人が死亡、5人が行方不明になったと主張していて、徴用に触れる形で対象施設の歴史説明をすることも求めている。

 中国も韓国に同調し、中国や朝鮮半島から強制連行された労働者が働かされた施設があるとして登録に反対だ。「日本は強制連行の問題を見て見ぬふりをしている」(中国外務省副報道局長)と批判しているよ。

 Q 登録されるかな?

 A 諮問機関は5月、登録するべきだとユネスコ世界遺産委員会に勧告した。勧告はそのまま受け入れられるのが通例で、7月初旬にドイツでの委員会の会議で正式に審査される。委員会で合意がまとまらなかった場合には、投票となることもあり、日本や韓国など委員国21カ国のうち投票総数の3分の2以上の賛成が必要だ。

 Q 登録勧告が覆ったことは?

 A 文化庁によると、近年はイスラエルが申請した古代遺跡「ダンの3連アーチ門」だけだ。イスラエルとアラブ諸国との対立が原因とされている。逆に、不登録の勧告を受けても、委員国の投票によって登録が決定された、ヨルダン川西岸ベツレヘムの「聖誕教会」(パレスチナ)の例もある。

 Q 登録で対立に発展したこともあるの?

 A カンボジアが申請した「プレアビヒア寺院遺跡」は2008年に登録されたことをきっかけに、遺跡周辺の土地の帰属をめぐりタイとの緊張が高まって、死傷者が出る武力衝突に発展した。

 Q 今後の展開は?

 A 日韓双方がそれぞれ委員国への働き掛けを強めている。日本は韓国とも2度協議し、遺産の対象年次は「1850年代から1910年」で、徴用があった1940年代とは異なるとして理解を求めたけど、議論は平行線のままだ。(共同/SANKEI EXPRESS

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