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東証終値2万868円 18年半ぶり高値 「実体回復が裏打ち」 根強い先高感

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東証終値2万868円 18年半ぶり高値 「実体回復が裏打ち」 根強い先高感

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約18年ぶりの高値となった日経平均株価=2015年6月24日午前、東京都中央区(早坂洋祐撮影)  24日の東京株式市場は日経平均株価が続伸し、終値は前日比58円61銭高の2万868円03銭と、2000年4月のITバブル期の高値(2万833円21銭)を上回った。値上がりは4営業日連続。政府の経済対策や円高是正で株高となった1996年12月以来約18年半ぶりの高値水準となった。

 ギリシャ債務問題をめぐる協議の進展などから投資家の警戒感が和らぎ、前日の欧米市場で株価が上昇した。この流れを引き継いだ東京市場では、朝方から買い注文が優勢となり、主力株を中心に幅広い銘柄が買われた。平均株価は一時143円高の2万952円まで上昇する場面もあった。

 円相場が一時1ドル=124円台まで下落し、円安ドル高に振れたことも輸出関連株の買いにつながった。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)交渉の合意に不可欠とされる米国の「貿易促進権限(TPA)法案」が成立する可能性が高まったことも好感された。ただ、午後に入ると高値警戒感から利益確定売りに押され、上げ幅を縮めた。

 今年の平均株価は日欧などの金融緩和を追い風に上昇を続け、4月には約15年ぶりに2万円を回復した。大和証券の高橋卓也日本株シニアストラテジストは「足元の株価上昇は企業の利益成長を反映したもので、バブルということではない」との見方を示した。

 ≪「実体回復が裏打ち」 根強い先高感≫

 日経平均株価がITバブル期の高値を更新し、一つの節目を迎えた。重しだったギリシャ債務問題への警戒感が和らぎ、日本株は企業の好業績などを背景に今後も先高感が根強い。ただ、先行きには、世界経済の不安要因に揺さぶられる懸念も残る。

 2万円起点のステージ

 「この数日で、相場の流れが一挙に変わり始めている。2万円を起点とした新たな株高のステージに立ったのではないか」

 岡三証券の大場敬史シニアストラテジストはこう指摘する。日本株の先高感は根強いとの見方が多い。

 平均株価は今年に入って上昇基調を強め、年初からの上昇率は約20%に達した。原動力となるのは企業業績のさらなる改善だ。

 SMBC日興証券によると、東証1部の上場企業(金融除く)の2016年の最終利益予想は合計で23兆2170億円と、2期連続で過去最高益となる見通し。足元の円安ドル高が続けば、企業業績は一段の上振れも期待できる。

 甘利明(あまり・あきあ)経済再生担当相は24日、記者団に対し「今回の経済はバブルではない。実体経済の回復に裏打ちされた株価だ」と強調した。

 企業統治改革が後押し

 株式の需給も良好だ。公的年金を運用する年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)が運用資産に占める日本株の比率を引き上げるなど、公的マネーの存在が株高を演出した。日銀も異次元緩和の一環で上場投資信託(ETF)を買い、相場を下支えする。

 さらに、本格化する企業統治改革が中長期の株高を促しそうだ。今月1日には東京証券取引所の「コーポレートガバナンス・コード(企業統治原則)」の適用が始まった。増配や自社株買いなど株主還元策の強化や社外取締役の拡大、資本効率の向上といった企業の取り組みは、海外投資家を中心に日本株への投資意欲を高めるとみられる。

 平均株価は直近の4営業日で4.4%も上昇した。それでも、株価指標でみれば日本株は米国株に比べまだ割安で、買われる余地があるとの声が多い。

 「外患」にらむ展開

 底堅い日本株の懸念材料となるのは、米国の利上げなど世界経済の変動だ。金融市場は、米国の年内の利上げを織り込み始めたとされる。だが、岡三証券の大場氏は「利上げに伴う米国株の反応次第で、日本株も無傷ではいられない。大きな懸念材料だ」と語る。

 一方、大和証券の高橋卓也日本株シニアストラテジストは「利上げペースは緩やかとみられる上、(利上げで)円安ドル高が進めば企業業績を下支えする。株価の大きな下押し要因にはならない」とみる。

 ギリシャの債務問題はやや緊張が緩和された。だが、SMBC日興証券の丸山義正米国担当シニアエコノミストは「債務問題そのものが終わったわけではない。再び金融市場でリスク要因として浮上する恐れがある」と指摘する。日本株は当面、“外患”をにらんだ展開となりそうだ。(森田晶宏/SANKEI EXPRESS

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