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南軍旗関連はダメで、ナチス・ドイツ関連はなぜOK??
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「南軍旗」を販売する店舗。通販サイトなどでは取り扱い中止が広がっているが、一方でナチス・ドイツ関連商品にはいっさい規制はかかっていない=2015年6月24日、米ジョージア州ケネソー(AP) ≪米通販サイトに新たに火種≫
米南部サウスカロライナ州の黒人教会で9人の黒人信者が白人男性に射殺された事件を受けて、南北戦争(1861~65年)時の「南軍旗」の使用中止の動きが拡大する米国で、矛先がナチス・ドイツ関連商品に向かい始めた。南軍旗関連商品の取り扱いを中止したネット通販サイトなどに対し、「ナチス・ドイツに関連する商品はいまだに取り扱われているではないか?」と多くのメディアが疑問を呈しているのだ。通販サイト側は「出品数の多さ」という物理的な問題のほかに、ガイドライン上も“グレーゾーン”と説明しているが…。
17日夜に起きた今回の拳銃乱射事件では、容疑者が自身のサイトに南軍旗を持った自分の写真を掲載していたことから、奴隷制度を擁護する象徴だった南軍旗は、黒人差別のシンボルにあたるとして全米で排除の動きが一気に高まった。
6月23日付米紙ウォールストリート・ジャーナル(電子版)などによると、米最大の小売りチェーン、ウォルマートをはじめ、大手百貨店、シアーズやネット通販大手、アマゾン・ドット・コムやイーベイが南軍旗関連商品の取り扱いを中止。著名な旗メーカー2社も南軍旗の販売を中止すると発表した。
こうした動きが、ナチス・ドイツ関連商品に飛び火したのだ。6月24日付のロイター通信や米紙ワシントン・ポスト(電子版)などが、アマゾンとイーベイの措置に対し、「南軍旗の取り扱いを禁止したのに、第2次世界大戦時、ユダヤ人の大虐殺など数々の戦争犯罪を繰り広げたナチス・ドイツの記念品など関連商品の取り扱いを禁止しないのは公平性に欠く」との論調で報じた。
アマゾンとイーベイには、いずれも「憎悪や暴力、人種的不寛容を助長・美化する商品の取り扱いを禁止する」という決まりがある。イーベイの広報担当ライアン・ムーア氏は南軍旗の取り扱い禁止措置について、この規定を挙げて「違反商品はキーワードフィルターや監視ツールで探し出して削除する」と説明する。
実際、アマゾンでは23日段階で南軍旗と検索すれば約3万点の商品がリストアップされたが、24日午後にはほぼゼロになった。イーベイでも23日に1377点あったが24日には466点に激減していた。
ところがナチス・ドイツの記念品などについては、両社とも「第2次大戦を振り返る歴史的な意義を持つ商品との側面もある」として、禁止に踏み切っていない。さらに、取扱商品が膨大なため、「仮に禁止したとしても出品者とのいたちごっこで完全に取り除けない」とも。
イーベイには24日現在、ナチスを率いたアドルフ・ヒトラー(1889~1945年)の像やナチス・ドイツのシンボルである鍵十字(ハーケンクロイツ)のアイテム、コイン、切手などが出品され、アマゾンの個人売買サービス「マーケットプレイス」では23日段階でナチスの腕章や鍵十字をあしらった宝石が出品されていた。
両社の対応に、インターネット法の専門家で知られるデレク・バンバウアー・米アリゾナ大教授は、ロイター通信に「両社は扱う商品の規模が膨大で、ナチスの記念品から宝石の偽物に至るまで、販売・出品者の特定は相当困難だ」と擁護する。
しかし、ワシントン・ポスト紙は、フランスの反ユダヤ人排斥連盟などが2000年に、米ヤフーのオークションサイトに対して、ナチス関連商品の出品禁止を求めて仏裁判所に提訴した際、ヤフー側が01年に仏国内でナチス関連商品の出品を自主的に禁止したことなどを例に挙げて、米国内でも禁止は十分に可能との認識を示した。
そのうえで、「アマゾンとイーベイが南軍旗関連商品の販売を中止したが、それは良いことか悪いことか」と公平性の観点から問いかけている。(SANKEI EXPRESS)