SankeiBiz for mobile

戦略・経済対話 「政経分離」で協調姿勢 習氏訪米にらみ 「成果」と「深い溝」

ニュースカテゴリ:EX CONTENTSの国際

戦略・経済対話 「政経分離」で協調姿勢 習氏訪米にらみ 「成果」と「深い溝」

更新

6月24日、米首都ワシントンの米国務省で行われた「米中戦略・経済対話」の閉幕式に臨む中国の汪洋副首相(左)とジョン・ケリー米国務長官=2015年(ゲッティ=共同)  バラク・オバマ米大統領(53)は24日、ワシントンで開かれた「米中戦略・経済対話」に出席した中国代表団とホワイトハウスで会談し、海洋やサイバー空間での中国の行動に懸念を直接伝え「緊張を緩和する具体的な措置」を取るよう求めた。ホワイトハウスが発表した。

 戦略・経済対話は24日、2日間の日程を終え閉幕。南シナ海の問題など安全保障をめぐる溝は埋まらなかった。両国は国際金融など経済分野で協調姿勢を見せた。

 大統領が自ら中国指導部に懸念を表明するのは異例で、9月に予定される習近平国家主席(62)の訪米を念頭に、南シナ海の岩礁埋め立てやサイバー攻撃の自制を迫った。

 ジョン・ケリー国務長官(71)は閉幕式で「南シナ海での岩礁埋め立てと軍事拠点化の可能性をめぐり中国と近隣国の緊張が高まっている」と言及し、「一方的な行動」を控えるよう求めた。だが、楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に、よう・けつち)国務委員(65)は「中国は領土主権や海洋権益を守る断固とした決意を再確認した」と取り合わなかった。

 米中はサイバー問題をめぐる規範作りで協力することに合意したが、楊氏はサイバー攻撃に中国が関与しているとの米側の指摘を否定した。

 一方、両国は投資協定の交渉促進で一致するなど経済協力の拡大に意欲を表明した。

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)は設立協定の署名式を今月29日に控えており、ジェイコブ・ルー財務長官(59)は「中国は世界経済で重要な役割を担っている」と指摘。米中は「国際金融システムで高い基準を保つ責任」があるとして、AIIBの適正な運営を求めた。

 汪洋副首相(60)は「国際金融機関のガバナンス(統治)について認識を共有した」と述べた。

 ルー氏は中国が人民元市場への為替介入を減らして相場の柔軟性を高めたと指摘し、中国指導部の経済改革の取り組みを評価。汪氏は「2つの大国が協力を進めるには(相互の)理解が必要だ」と述べ、対話の重要性を強調した。(共同/SANKEI EXPRESS

 ≪習氏訪米にらみ 「成果」と「深い溝」≫

 米国と中国の両政府は24日、ワシントンで開かれた閣僚級の「米中戦略・経済対話」を終えた。大国としての自信を隠さず、南シナ海で存在感を誇示する中国に対し、危機感を募らせる米国はオバマ大統領が自ら懸念を伝達。対立が解けない課題を残しながらも、双方は経済分野を中心に“融和”を演出。習近平国家主席の9月訪米をにらみ、駆け引きを本格化させた。

 127項目で合意

 「建設的で生産的な対話だった」。閉幕式でケリー米国務長官は、双方に利益がある気候変動対策やエボラ出血熱の感染国支援などの合意事項を列挙。中国の楊潔●(=簾の广を厂に、兼を虎に、よう・けつち)国務委員も「われわれが共有する利益は相違点よりはるかに多い」と応じた。両国関係は経済的な相互依存の高まりに加え、北朝鮮やイランの核問題などに対応する上で双方ともに「全面対立の余裕はない」(汪洋・中国副首相)のが現状だ。

 習氏の訪米を控える中国側と、国賓として迎える米側の双方が首脳会談の失敗は許されないとの思いを共有し、軟着陸を望む思惑が一致した。米政府が発表した資料によると、2日間の対話による成果は人的交流や野生動物の密猟対策、海洋保護など幅広い分野の127項目。投資協定交渉の加速や、国際金融システムに関する協力強化でも合意した。

 南シナ海、サイバー問題

 だが安全保障分野の溝は深い。米国は、中国による南シナ海での岩礁埋め立てや滑走路建設を通じた「軍事拠点化」がアジア太平洋地域の緊張を高めていると問題視。ケリー氏が5月に訪中して習氏に懸念をぶつけるなどして繰り返し埋め立てなどの停止を迫った。だが成果はほとんどなく、中国が着々と進める工事を前に無力感が漂う。

 中国政府のサイバー攻撃関与を疑う米国に対し、中国は自国も被害者だと主張し、議論はかみ合わない。オバマ氏が楊氏らと会って直接懸念を示したのは、こうした焦燥感からだ。

 「競争はあるし、激しい見解の相違もあるだろう」。開幕時にジョー・バイデン米副大統領(72)が語ったように、今回の対話で溝は埋まらなかった。閉幕後の記者会見でケリー氏は米中関係が良い方向に向かっているとの認識を示した上で「いくつかの問題で対立があるのは間違いない」と認めた。

 対等な姿 強調

 中国は「経済関係の強化は、両国関係全体を安定させ、推進する装置だ」(財政省)として経済面から米国との関係の安定化を図りたい考えだ。

 欧米主導の既存の金融秩序に不満を強めた中国は自ら、国際金融機関、AIIBの設立に走った。今月29日には北京に創設メンバー57カ国の代表を集め、設立協定の署名式を開く。

 中国の国営メディアは今回の対話を報じながら「中国は国際貿易、金融システムの参加者から策定者へと変わりつつある」と自賛。中国の政府系研究者も「(米中の)摩擦が増えているのは、中国の国力が増したことに米国が適応できていないからだ」と分析する。

 中国側は今回の対話で、互恵重視の「新たな形の大国関係」構築を何度も強調。習氏の訪米では、オバマ氏と対等に渡り合う姿を世界に印象付けることを狙うとみられる。(共同/SANKEI EXPRESS

ランキング