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中国「軍事目的」 対米強硬緩めず アジア安保会議 南シナ海埋め立てで軍幹部

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中国「軍事目的」 対米強硬緩めず アジア安保会議 南シナ海埋め立てで軍幹部

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アジア安全保障会議で講演する中国人民解放軍の孫建国副総参謀長=2015年5月31日、シンガポール(AP)  中国人民解放軍の孫建国・副総参謀長(63)は31日、シンガポールのアジア安全保障会議(シャングリラ対話)で講演し、前日にアシュトン・カーター米国防長官(60)から「即時中止」を求められた南シナ海での岩礁の埋め立てによる人工島建設について「中国の主権の範囲内で、合法で正当かつ合理的な活動だ」などと反論。その目的として「軍事、防衛上の必要なニーズを満たすためだ」と述べた。

 南シナ海での岩礁の埋め立てについて、中国軍幹部が公に軍事目的に言及したのは初めてとみられ、米国防長官などの発言に中国当局が一段と態度を硬化させたことを意味する。

 「平和利用」繰り返し

 岩礁の埋め立てを主導しているのは、中国海軍だと指摘されている。人工島に火砲などの武器が配置されたことも米偵察機によって発見されたが中国当局はこれまで、埋め立ての目的について「航海の安全、気候変化の観測などの平和利用」(外務省報道官)と繰り返してきた。

 ここへ来て、軍幹部が軍事目的を言明した背景について、中国の外交政策に詳しい共産党関係者は「最近になってから、米国政府が度々中国を批判し、埋め立て作業の中止を執拗(しつよう)に求めたことに対する中国軍部の反発だ」と指摘する。

 「弱腰」見透かす

 関係者によれば、この問題は現在、共産党指導部内の保守派が主導している。保守派は「これまでに国際紛争で“弱腰”を示すことが多いオバマ米政権は最終的に南シナ海の対立に本格的に介入してこない」と判断し、「強い姿勢を示せば、南シナ海における中国の権益を拡大できる」と主張しているという。

 また保守派内には、米国の大統領選挙が近づくなかで次期政権の対中政策が不透明のため、オバマ政権の残りの任期を権益拡大のチャンスとして捉え、「南シナ海の領空に中国の防空識別圏の設置を急ぐべきだ」と主張する声もあるという。

 孫氏はこの日の講演で、「主権問題で妥協することは絶対にない」とも強調した。

 中国はフィリピンやベトナムなどが実効支配している南シナ海の多くの離島に対する主権を主張している。埋め立てを進めている人工島の目的が「軍事、防衛上のニーズ」であれば、中国軍がこれらの離島を「武力で奪還する意味」とも理解できる。南シナ海における軍事的緊張は今後、ますます高まりそうだ。(北京 矢板明夫/SANKEI EXPRESS

 ≪中谷防衛相「平和に貢献」 海自P3C派遣は困難≫

 31日に閉幕したアジア安全保障会議では、中国が人工島を築く南シナ海の問題に焦点が当たった。会議に出席した中谷元(げん)防衛相(57)もこの問題に積極的に関与する姿勢を示したが、自衛隊の警戒監視活動には限界もある。限られた能力でいかに貢献するか-。スプラトリー(中国名・南沙)諸島をめぐる米中対立が過熱する中で、日本政府の模索が続いている。

 「日本も地域の平和と安全に貢献していく」

 中谷氏は31日に会談したシンガポールのウン・エンヘン国防相(56)に対し、こう強調した。ウン氏も、中国の人工島開発を名指しで批判した中谷氏の前日の講演を高く評価した。

 米政府は中国への批判を強める一方、日本には南シナ海での警戒監視活動という「貢献」を期待している。日本政府も、中国が滑走路建設を進めるファイアリークロス(永暑)礁を拠点に軍用機を運用すれば、シーレーン(海上交通路)の要衝であるマラッカ海峡などが中国軍の作戦可能範囲に入るとみており、決して人ごとではない。

 とはいえ、高い警戒監視能力を誇る海上自衛隊のP3C哨戒機を南シナ海に派遣することは難しい。海自第5航空群司令部(那覇市)所属のP3Cが現地に向かうには片道4時間。P3Cの標準的な航続時間は10時間とされることから、警戒監視に充てられる時間はわずか2時間しかない。24時間態勢で監視を行うためには「2時間ごとにP3Cを飛ばさざるを得ず、現実的ではない」(海自幹部)のが実情だ。

 このため、ソマリア沖・アデン湾での海賊対処活動を行う海自P3Cが中継地としている、フィリピンの旧米空軍クラーク基地を活用する案も出ている。(SANKEI EXPRESS

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