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帰島見通せず 仮設建設急ピッチ 口永良部島 噴火1カ月

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帰島見通せず 仮設建設急ピッチ 口永良部島 噴火1カ月

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雨が降り続く中で行われる、口永良部(くちのえらぶ)島の住民が入居する仮設住宅の建設作業=2015年6月28日、鹿児島県熊毛郡屋久島町(共同)  口永良部(くちのえらぶ)島・新岳(鹿児島県屋久島町)の爆発的噴火に伴う全島避難から29日で1カ月を迎える。新岳は18~19日に続けて再噴火するなど活動が継続。避難の長期化は避けられないと判断した町は、仮設住宅の建設など環境整備を急いでいる。ただ、帰島時期の見通しは立たず、ストレスを含む健康面のケアが課題だ。町は29日午後に住民説明会を開く。

 来月末に完成、47人入居

 避難した住民は86世帯137人。屋久島の避難所3カ所には一時、75人が入っていたが、27日時点で31人に減った。公的住宅や民間のアパートなどに移ったためで、避難所は2カ所に減った。仮設住宅は24日に着工。7月末に完成し、47人が8月初旬に入居する見通しだ。

 ただ、1カ月の避難生活で体調を崩し、病院に通う住民もいる。独居の高齢者が多く、孤立対策も求められている。

 一方、生活支援のため、町は6月26日、見舞金の支給を始めた。世帯主は10万円、家族ら5万円で総額は約1200万円になる見込み。町内外からの義援金も25日までに3000万円近く集まり、分配方法を検討している。

 口永良部島への一時入島はこれまで4回。町は今後、フェリーでマイカーや家畜を運び出したり、台風対策で雨戸を閉めたりする計画だが、梅雨明けになるとみている。

 噴火警戒レベル5を維持

 福岡管区気象台によると、新岳の火山活動は高まった状態が続き、27日も高さ200メートルの噴煙を観測。噴火警戒レベルは5(避難)を維持している。国土交通省は、一部の地域で小規模な土石流を確認し、今後も注意が必要と呼び掛けている。

 公的住宅に避難している自営業の関口浩さん(49)は「居心地が良いのは口永良部。1カ月たっても、慣れない。避難期間もどうなるか分からず、仕事も決められない」と不安そうに話した。

 ≪避難民も長期戦覚悟 雇用対策など急務≫

 鹿児島県・口永良部(くちのえらぶ)島の全島避難から1カ月。当初は早期の帰郷に期待をつなぐ住民が多かったが、相次ぐ再噴火により雰囲気は変わり「過去の噴火とは違う。長期戦の覚悟をしないといけない」(荒木耕治・屋久島町長)という見方が拡大。今後は、仕事の確保や避難者の孤立対策が焦点になる。

 口永良部島行きフェリーが発着する港に近い屋久島のゲートボール場。24日、仮設住宅の建設が始まった。「避難が半年や1年なら必要だが、今は建てようと思ってない」(町幹部)。町は当初、建設に慎重だったが、避難が長引けば、きちんとした住まいが必要と判断した。

 避難者の一人、消防団員の山口正行さん(46)は、再噴火を機に「長期避難を真剣に考えるようになった」とあきらめた表情で話す。

 高齢者ら1人暮らしの人も多く、仮設住宅には談話室を用意。エアコンも全室に設置する。床を高くして風通しを良くし、強風に耐えられるように基礎をコンクリート製にする予定だ。林芙美子の小説「浮雲」に、月のうち35日は雨、と描かれるほど雨が多い屋久島。たびたび台風も通過するため、独自仕様にする。

 避難の長期化を見据え、住民からは「仕事があるのか不安」という声が上がる。当面の生活は見舞金や義援金でしのげるが、荒木町長も「支援が必要なのは雇用」と指摘。道路清掃など、口永良部島で就いていた仕事に似た業種を斡旋(あっせん)する意向だ。

 一方、寄り合い所帯の避難所はプライバシーの確保が難しい半面、身近に相談相手がいるという利点もあった。しかし、公的住宅や仮設への分散が進むと、孤独に陥る恐れがある。公的住宅に避難している自営業、貴船庄二さん(68)は「みんなが集まって情報交換できる場が必要」と話す。

 新たな環境になじみ始めた人もいる。公的住宅に1人で暮らす漁師、畠喜人さん(57)。避難後、連日のように公民館や学校で卓球をして汗を流す。7月に大会を控えているといい「口永良部島は卓球をする人が少なかった。ここでは毎日できる」と笑顔を見せた。

 ただ、避難が年単位に及べば、口永良部島の復興に影響する可能性も。噴火による全島避難が4年5カ月に及んだ三宅島(東京都)には、若者を中心に帰らない人が相次いだ。屋久島町の寺田猛町議は「いざ帰れるようになっても、子供がいる世帯は戻るだろうか」と、小さな島のコミュニティー維持を案じた。(SANKEI EXPRESS

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