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【世界自転車レース紀行】(28)日本 母国開催の意地かけて
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遠くに富士山を臨む第6ステージは、静岡県伊豆市の日本サイクルスポーツセンターを舞台にした伊豆ステージ=2015年5月23日(田中苑子さん撮影) 今年で18回目の開催を迎えた国内最大のステージレース「ツアー・オブ・ジャパン」が5月17日から24日まで、初夏を感じさせる爽やかな日差しの下で開催された。
「ツアー・オブ・ジャパン」は、自転車月間推進協議会が主催者となり、「自転車月間」の5月に毎年開催されている大会で、近年は大阪府堺市での個人タイムトライアルを皮切りに、レースは本州を横断するようにして1週間かけて東京まで移動する。
今年は、昨年までの堺ステージ、美濃ステージ、南信州ステージ、富士山ステージ、伊豆ステージ、東京ステージの6つのステージに加えて、三重県いなべ市でのいなべステージが加わり、全7ステージ、総走行距離642.45キロで競われた。
また今年は、子供たちにもっと自転車競技や選手たちのことを知ってもらおうと、移動日に選手たちがレース開催地の小学校を訪問したり、地元の小学生たちが表彰式でのプレゼンターを務めるなど新しい試みがあり、これまで以上に活気のある大会となった。
そして、参加したのは9つの国内チーム、イタリアやイラン、アラブ首長国連邦など海外の8チームに所属する合計100人の選手たち。海外からの強豪選手を母国開催の意地を見せたい日本人選手たちが迎え撃つ。大会は、総合優勝者に贈られる新緑をイメージした緑色のリーダージャージーをかけて、日々熱戦が繰り広げられた。
≪高い海外勢の壁…「背中」見えたステージも≫
各ステージの合計タイムで総合優勝者が決まる自転車ロードレースのステージレース。「ツアー・オブ・ジャパン」において、総合優勝を狙う上でもっとも重要になるのが、第5ステージとなる富士山ステージ。11.4キロとレース距離は短いものの、最大勾配22%、麓の静岡県小山町から、ふじあざみラインを使って、富士山須走口5合目まで一気に駆け上がる世界的にもまれなヒルクライムステージだ。
今年の優勝者はイラン人のラヒム・エマミ(ピシュガマン・ジャイアント)。イラン人選手は高地に住み、日常的に3000メートル級の山岳でトレーニングを重ねているという山岳スペシャリストであり、結果的に彼らが富士山ステージでは1位から5位までを独占した。そして、富士山ステージで2位でゴールした昨年の総合優勝者であるミルサマ・ポルセイエディゴラコール(タブリーズ・ペトロケミカル)が、このステージを終えて総合成績首位に浮上、その後最終日までリードを守り切り、大会2連覇を達成した。
最難関の富士山ステージでの日本人最高位は増田成幸(宇都宮ブリッツェン)の22位で、優勝者からは4分遅れてのゴールとなった。増田は「ベストは尽くしたが、遅れてしまった。海外のトップ選手に少しでも近づけるように努力していきたい」と、レース後に肩を落としながら話した。増田は最終ステージを終えて総合成績でも日本人トップとなる16位だったが、日本人選手の最高位が16位という結果を受けて、国内チームは世界との厳しい壁に直面した。
現在、大会主催者たちは大会をより良いものにしようと日々奮闘し、世界を視野に活動するチームも増え、また日本自転車競技連盟も東京オリンピックに向けて若手選手の強化を図っている。総合成績では海外勢にかなわなかった日本人選手だが、その一方で各ステージを見ていくと勝利や表彰台には届かないものの、最終日の東京ステージで弱冠19歳の黒枝咲哉(くろえだ・さや)が世界の強豪スプリンターたちに果敢に挑み5位でゴールするなど、希望を感じさせる走りもあった。競技環境の向上と、才能ある若手選手の育成。自転車競技の後進国である日本において、決して簡単なことではないが、日本の自転車競技界はステップを踏みながら、前に進もうとしている。(写真・文:フリーランスカメラマン 田中苑子(そのこ)/SANKEI EXPRESS)