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【世界自転車レース紀行】(25)ベルギー 急坂や石畳走る「北のクラシック」

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【世界自転車レース紀行】(25)ベルギー 急坂や石畳走る「北のクラシック」

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「クールネ~ブリュッセル~クールネ」で、細い登坂区間を走る先頭集団=2015年3月1日、ベルギー・オーデナールデ(田中苑子さん撮影)  自転車ロードレースの競技シーズンは春から秋まで。現在、競技のグローバル化にともない、温暖な中東や南半球のオーストラリアで1月からレースが開催されているが、ヨーロッパでの昔ながらのシーズン開幕は2月。上旬からイタリアやフランスでレースがポツポツと始まり、世界一自転車競技の盛んなベルギーでは2月最終週から本格的にプロレースのシーズンがスタートする。

 今年の開幕戦となったのは、2月28日の「オンループ・ヘット・ニュースブラッド」と3月1日の「クールネ~ブリュッセル~クールネ」。どちらも1日で200キロ程度を走行するワンデイレースで、ベルギーのフランドル地方が舞台となる。これらレースを皮切りにして、ベルギーではたくさんの伝統的なレースが開催され、4月上旬の「ツール・ド・フランドル」で早くもシーズンの盛り上がりは最高潮に達する。

 ベルギーの冬は厳しく、春の訪れも遅い。2013年は異常気象とも言える寒さに見舞われ、同時期の開催だったが「クールネ~ブリュッセル~クールネ」は雪のためにキャンセルとなった。今年は幸いに天候に恵まれ、寒さは残るものの、ときおり春らしい日差しの差し込むなかで開催された。

 ≪悔しさを糧にさらなるステップへ≫

 ベルギーで開催される春のレースはその歴史の長さから「クラシックレース」と呼ばれ、「オンループ・ヘット・ニュースブラッド」は70回目、「クールネ~ブリュッセル~クールネ」は67回目の開催だ。

 また世界中にいくつもある「クラシックレース」の中でも、ベルギー、フランドル地方のレースは「北のクラシック」と呼ばれ、急坂や石畳、ときには石畳に覆われた急坂がコースに組み込まれるのが特徴だ。

 当然、選手にとって、そのようなコースを攻略するのは容易なことではなく、「北のクラシックレース」で優勝することは、歴史に名前を刻む大きな名誉となり、とくにベルギー出身の選手にとっては、「ツール・ド・フランス」での勝利よりも重要視されることも多い。

 今年は4人の日本人選手が厳しいレースに挑んだ。「オンループ」は同時に女子のレースが開催され、日本チャンピオンで、単身でヨーロッパで活動する萩原麻由子(ウィグル・ホンダ)が、シーズン初戦として出場し、「クールネ」には、ベルギーを拠点とする新チーム「CCT p/b チャンピオンシステム」に所属する22~23歳の若手日本人選手3人が出走した。4人とも結果は決して良いものではなく、厳しい「北のクラシック」の洗礼を浴びた。

 しかし、伝統ある名門レースのスタートラインに日本人の女子選手と若手選手が並べることは、日本の自転車競技界にとって、大切なステップとなったといえる。

 今回悔しさを味わった選手たちは、ここでの経験を糧にさらなる上のステップをめざしている。(写真・文:フリーランスカメラマン 田中苑子(そのこ)(SANKEI EXPRESS

 ■たなか・そのこ 1981年、千葉生まれ。2005年に看護師から自転車専門誌の編集部に転職。08年よりフリーランスカメラマンに転向し、現在はアジアの草レースからツール・ド・フランスまで、世界各国の色鮮やかな自転車レースを追っかけ中。

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